人事部の仕事が会社に与える影響とは??

あなたの会社に人事部はありますか?

大企業では当たり前の人事部ですが、実は中小企業には人事部がほとんどありません。

本当に中小企業に人事部は必要ないのでしょうか?

なぜ、中小企業に人事部はないのか??

そこには大きく二つの理由が考えられます。

まず一つ目は、そもそも人事部の必要性を感じていないからです。

人事部の仕事というのは、人を採用する際の手続き程度で、普段は何もすることがないという認識を持っている中小企業の社長は意外と多いのです。
つまり、人事部の仕事は「ついで仕事」だというイメージがあり、そんな部署は必要ないと考えているのです。

もう一つは、必要性は感じているものの、優先度が低いことが挙げられます。

中小企業の社長にとって、最も重要で、優先度が高いのは売上を伸ばし、経費を抑えることです。
この二つの最優先事項、「売上を伸ばす」、「経費を抑える」ことに人事部はあまり貢献しないと考えている傾向が、中小企業の社長にあるのではないでしょうか。

人事部の仕事は本当に「ついで仕事」なのか??

人事部の仕事が「ついで仕事」だと感じている社長の頭の中はこのようになっているのではないでしょうか?

人事部の仕事=採用

確かに、採用は重要な人事の仕事です。
最近、新入社員が入社後早々に離職するという事例が多く、社会問題化していますが、このことは採用時のコミュニケーションがいかに重要であるかを表しています。

しかし、会社を去っていくのは、何も新入社員だけではありません。
既にバリバリ仕事をしてくれている現役社員も会社を辞めていくのです。
特に、余剰人員が少ない中小企業にとって、これは致命的です。

では、社員はなぜ、会社を去っていくのでしょうか?

上のグラフは、中小企業庁が発表した調査結果です。

この調査から、社員は、人間関係の不満、業務内容への不満、給与への不満などを理由に、会社を去っていくことがわかります。
しかし、このような不満は、人事部で解決できるものばかりなのです。

実は、人事部の仕事は「採用」だけではありません。
採用後から始まる、「育成」「評価」も人事部の大切な仕事です。

ひょっとすると人間関係の不満は、きちんと仕事を教えてくれない上司や先輩社員が原因かもしれません。
つまり「育成」の仕方に不満を持っているのかもしれません。

給与への不満は、自分の仕事が正しく「評価」されていないと考えているからかもしれません。

このように、社員が会社を去っていく理由のほとんどを、人事部は解決できるのです。
これでも人事部の仕事は「ついで仕事」だと言えるのでしょうか?

人事部の仕事におけるやりがいとは??

人事部の仕事が機能していくと、結果として社員が辞めなくなります。
もちろん100%ではありませんが、社員が安心感、納得感を持って仕事に打ち込める環境が整備されるのは間違いありません。

一方、人事部は直接、売上を作る部署ではありません。
従って、常に会社の最前線で活躍しているというイメージの営業部門やものづくりの現場である製造部門と比べて、やや日影の存在であるかのような印象もあるのが正直なところでしょう。

しかし、やりがいという点では人事部も負けてはいないのです。

「どんな仕事にもやりがいはある!!」と言ってしまえばそれまでですが、特に少数精鋭の中小企業にとっての人事部は非常に重要なのです。

中小企業にとって、人材は最も大切な資産です。宝なのです。
宝である人材が会社に定着するかどうかは、人事部の仕事次第であることは前章でも申し上げました。

もし、一人の社員が会社を去っていく決断をした場合、その社員にとって不幸なことであるのは言うまでもありませんが、残された社員にとってはどうでしょうか?

これからは人手不足の時代です。特に中小企業では新たに人を採用することが、いかに難しいかは想像に難くないでしょう。すると残された社員にしわ寄せがいき、ますます不平不満が溜まっていくのです。
最悪なのは残った社員の中からも、辞めていく人が出てしまうことです。

負の連鎖です。

この負の連鎖で会社の経営基盤が揺らぐことさえ、十分に考えられるのです。
会社の宝である人材に直接向き合う人事部の仕事は、営業部門や製造部門にも負けない大切な仕事だと思いませんか?

人事部の仕事が会社の命運を握る!!

第2章において、社員が辞めた理由を見てきましたが、様々な不満が列挙されていました。
これらの不満の先にあるもの、つまり社員が会社を辞める理由を敢えて一つの表現に絞るなら、それは何でしょうか?

モチベーションがなくなる

人が体や頭を動かすには、理由や動機が必要です。
その根本でもあるモチベーションがなくなっているのです。

しかし、社員はモチベーションがすぐになくなるわけではありません。
ゼロかイチの世界ではないのです。
徐々にモチベーションが下がっていき、長い潜伏期間を経て会社を去っていくのです。

人事部は採用だけではなく、育成、評価も重要な仕事だと申し上げました。
育成、評価をするためには社員とのコミュニケーションは不可欠です。
コミュニケーションがあれば、モチベーションダウンの原因、具体的な不満を聞き出すこともできるのです。

さらに不満を解消する対策を打つことによって、モチベーションダウンを防ぎ、さらにはモチベーションアップにもつなげていけるのです。

社員のモチベーションは会社の業績に直結するのは言うまでもありません。中小企業であればなおさらです。

人事部の仕事は会社の命運を握っているのです。

まとめ

いかがだったでしょうか?

「人事部の仕事」に対するイメージが大きく変わった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような方が一人でも多くなり、会社の発展と社員の幸福が両輪となって進んでいくことこそ、これからの中小企業には必要なのです。

人事コンサルタント 大橋高広 公式ホームページ

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大橋 高広
株式会社NCコンサルティング 代表取締役社長|人事コンサルタント・研修講師|東洋経済オンライン記事投稿・日本経済新聞での書籍紹介│新刊『リーダーシップがなくてもできる職場の問題30の解決法』(日本実業出版社)Amazonランキング「マネジメント・人材管理」6位│その他著書『バカはブラック企業に入りなさい』(徳間書店)、『人事部のつくり方』(主婦の友社)│人事制度の設計と運用・管理職研修・職場改善研修・新卒研修・若手社員研修など「人事評価制度の設計と運営」を軸に、「組織文化形成・管理職育成・職場改善」など人事全般に関するサポートを提供