必見!今求められる人事部の必要な役割とは

現在、日本の動労人口が減少し、また、有効求人倍率が増加している中、中小企業はより、人材の確保を見直す必要が出てきました。
昔とは違い、「人事」という仕事内容も多様化しています。
今求められる人事部の必要な役割とは何でしょうか。

人事部の必要性と役割とは

中小企業の多くは、総務部人事係など、総務に併設する方法を取っています。
ですが、私は人事部を独立させることオススメします。

なぜなら、人事部は「採用」「育成」「評価」など「人材」に関わる部署です。
総務は主に労務管理をしています。
労務管理というのは、給与計算や社会保険の手続き、福利厚生に関する業務、就業規則の作成等、どちらかというと書類の作成手続きであり、求められる能力は、書類作成能力や管理能力です。

ですが、人事の仕事は、人材の採用、育成、人事評価、賃金制度、退職金に関しての制度の構築及び運用など、労務と全く違う作業であり、求められる能力が違います。

求められる能力と仕事が違う部署を併設すべきではないですし、独立させたほうが、よりリソースの積み重ねができると考えます。

さて、人事部の能力は「コミュニケーション」に尽きると思います。
社内のコミュニケーションを活性化し、潜む人的経営課題を浮き彫りにし、人事制度に反映していくのが最大の役割です。
特に中小企業は人材の流失が重要な課題です。
大抵の会社における課題は人事部をうまく活用すれば解決できることが多いのです。

VORKERSの調べによると、「社員口コミから導いた退社理由」は以下になります。
1位キャリア 2位待遇 3位ワークライフバランス 4位人間関係・社風 5位ハードワークとなっています。
実際、会社を退職する社員から、このような理由を率直に聞けた方はいるでしょうか。
実際この順位をみると、事前に問題点がわかれば、人事改革をして改善できそうな課題ばかりです。

引用:VORKERS調べ( https://www.vorkers.com/hatarakigai/vol_8 )

人事部として求められる資質とは

では、人事部として求められる資質とはいったい何でしょうか。
まず大前提として「コミュニケーション能力」があげられます。
現場からの声を拾い上げる必要があるためです。
このコミュニケーションも3つあると考えます。

  1. 社長と人事部長(人事担当者)のコミュニケーション
  2. 人事部長(人事担当者)と各部長のコミュニケーション
  3. 各部長とその部下のコミュニケーション

があげられます。

さらに、特に私が人事部長(人事担当者)として向いていると思う5つの条件があります。

現場の声が聞ける人

先も述べた通り、「コミュニケーション」と「信頼性」がある人です。
会社を退社する社員は、退社理由を「家庭の事情」「スキルアップしたいので」といった建前を聞くことが多いです。
しかしながら、本音は「人間関係」「社風」など様々な要因があげられます。
いかに探れるかが重要になってきます。

社長が相談したいと思える人

人事部長は社長の右腕となって、人事部づくりを推進していきます。
やりとりの中には、会社の重要機密事項を開示する必要も出てくるため、社長が信頼できる人を置くのが望ましいでしょう。

秘密厳守ができる人

人事部に話した内容が、社長や上司に筒抜けになってしまうと、二度と本音は言わなってしまうでしょう。
1.2.に関連することですが、守秘義務は重要な課題と考えていいとおもいます。

愛社長精神がある人

中小企業は、よくも悪くも社長の考えが色濃く反映される組織です。
なので「愛社精神」よりも、「愛社長精神」が大事になってくるかと思います。
実務作業をしていく中、従業員や周りから嫌味を言われることもあるかと思いますが、この人のためなら、頑張れるという、原動力が必要かと思います。

遠慮はしないけど、謙虚な人

人事から各部署に指示を出す場合があります。
ただ、傲慢に上から目線でいうと反発を招いてしまいます。
しかし言うべきことは言わないといけないため、遠慮せず物をいい、謙虚で入れる方が適していると考えます。

コミュニケーションはどうとればいいのか

コミュニケーションはどうとればいいのでしょうか。

よく聞く声は、社員が少ないので、「コミュニケーションは密にとれているから大丈夫だ」とおっしゃる方がいます。
本当にそうでしょうか。
飲み会の席など、時間外に部下からの愚痴を聞いている方もいるかと思います。
ただそれはうわべの愚痴かもしれません。

人事部に求められているのは、「仕事上でのコミュニケーション」です

このコミュニケーションは2つの条件から成り立っています。

  1. 業務時間内に行うこと
    聞く方も聞かれるほうも、仕事として行うことを意識しましょう。
  2. 守秘義務を守ること
    上司や、社長に漏れ聞こえていると会社内部に潜んでいる問題点を口に出すことができません。

現場の社員の本音を聞き出す面談により、「同期のあいつよりも俺のほうが仕事をしている」とか「社長にゴマをする奴が出世するのが悔しい」など本音を聞き出し、「賃金体制」や「人事評価」の改善をしていくことが可能になります。
こういった話は、誰が聞いているかわからない飲み会の席で聞くことは不可能でしょう。

今求められる人事部は、時代によって変遷していく

メンタルヘルスを管理する時代になりました。
「そんなことまで!」と思われる方もいますが、人事部の課題の一つです。

人事部は、社会情勢に合わせていく部署かもしれません。
男女雇用機会均等法や長時間労働問題など、社会の動きに合わせ、政府などが各企業に求めた改革を、経営者とともに、制度設計をしていく必要があります。
特に、会社を辞める一番の理由は人間関係が問題ですが、実は同じような状況に置かれても辞めない人がいます。
それはメンタルヘルス不調者になる確率が高いのです。

休職制度があれば、求職中の給与の一部を支払う必要があります。
また、その間、新たに雇用すると、採用募集費などの予想外の出費があり、その求職者が戻ってきた場合の対応にも追われます。

まとめ

人事部は、会社の核となる部署です。
会社をよくも悪くするも人事部の制度設計次第だと考えていただいていいでしょう。

今は、メンタルヘルスや長期間労働など、政府が企業に求める課題が多くなってきました。時代に即しながらも、現場に合わせていくことが今、人事部に求められていることだと考えます。

人事で損する『企業』と『人』をなくしたい

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ABOUT US
大橋 高広
株式会社NCコンサルティング 代表取締役社長|人事コンサルタント・研修講師|東洋経済オンライン記事投稿・日本経済新聞での書籍紹介│新刊『リーダーシップがなくてもできる職場の問題30の解決法』(日本実業出版社)Amazonランキング「マネジメント・人材管理」6位│その他著書『バカはブラック企業に入りなさい』(徳間書店)、『人事部のつくり方』(主婦の友社)│人事制度の設計と運用・管理職研修・職場改善研修・新卒研修・若手社員研修など「人事評価制度の設計と運営」を軸に、「組織文化形成・管理職育成・職場改善」など人事全般に関するサポートを提供