なぜ、あなたの会社の人事制度は成果が出ないのか?

人事コラム

なぜ、あなたの会社の人事制度は成果が出ないのか?

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なぜ人事制度をつくるだけでは、『人』に関する問題を解決できないか、そんな疑問を解決します。

 

自社にとっての優秀な人材は「採用・育成・定着」を通じて、はじめて獲得できます。

しかし、コロナ禍による経済状況の変化によって、労働市場が買い手市場となった今でも経営者が抱える『人』に関する課題は変わりません。

 

こんな疑問を解決します

  • なぜ人事制度が機能不全を起こすかを知りたい
  • 人事制度のつくりかたを知りたい
  • 本質的な要因や対策方法を知りたい

 

【結論】中小企業ほど人事部をつくり、教育体制と社内風土と連動した人事制度をつくることが大切

 

それでは、解説していきます。

 

中小企業ほど「人事部」の重要性を理解していない

中小企業ほど「人事部」の重要性を理解していない

まず、そもそものお話をご紹介します。

大企業にあって、中小企業にないものは「人事部」です。

多くの中小企業が「総務部人事係」を採用していますが、これでは会社は伸びません。

 

なぜなら、社員が会社を辞めていく理由には2つあるからです。

社員がすぐに会社を辞める理由

  1. ベテラン社員が新入社員に正しく指導できていない
  2. 新入社員は誰にも相談できない

2020年4月の長時間労働の上限規制(中小企業も対象)や、同年6月に施行された「職場におけるパワーハラスメント防止義務化」に伴い、上司による厳しい指導や労働基準法違反ぎりぎりのラインでの長時間労働を活用した人材育成はできません。

 

その結果、「正しい指導方法がわからない」、「ハラスメントが怖い」などの理由で適切な指導ができない職場環境が広がりつつあります。

 

こうした背景も影響して、「部下を放置する」上司・先輩社員も増えている傾向がみられます。

 

仕事のやり方や悩みを放置された新入社員は、仕事を覚えられず、会社への居心地も悪くなるため、会社を去ることは至極当然といえます。

 

このように指導体制の構築や現場の社員(管理職・先輩社員・新入社員)の本音に耳を傾け組織を内側から立て直すことが、人事部の重要な役割です。

 

社員が10人以上になった会社は、必ず人事部をつくってください

 

社員が育ち、辞めなくなる「人事部のつくりかた」は、こちらの書籍もご参考にいただけます。

10人以上の会社組織になったら、本当の意味での人事部をつくることが企業の反映に直結します。現場の社員の本音を聞き出す「現場志向コミュニケーション」ができる人事部の設立が、あなたの会社の将来を大きく変えるのです。多くの企業をこの手法によって、業績と組織のモチベーションアップに導いた著者がノウハウのすべてをお教えします。

 

人事制度が機能しない理由は教育体制・社内風土とのギャップ

人事制度が機能しない理由は教育体制・社内風土とのギャップ

従業員のモチベーション向上や成果を出しやすくするための人事制度が機能しない理由は、教育体制の有無と社内風土にあります。

 

成果を出せる人材を生み出すには、成果を生み出すための教育体制や実績に基づいたマニュアルの存在が不可欠です。

 

「見て学べ」と言わんばかりの形だけのOJTや管理職の心得・仕事への考え方といった画一的な社員教育では、成果を出せる人材は生まれません。

 

また、”働きやすさ”を勘違いした社内風土は「ぶら下がり社員」を生み出し、成果に応じた公平公正な評価を受けるべき社員のモチベーションを下げ、優秀な人材ほど退職していきます。

 

このように、人事制度も形だけの「成果やプロセスに応じた評価」としていながらも、成果を出すための教育や社内風土が整備されていないがために、人事制度が機能不全を起こすこととなります。

 

目標(成果)達成を目的とした人事制度には、成果を出すための教育体制や成果を出すための社内風土(成果を出すためのチームワークや成果達成を強く意識する職場環境)の整備が必要

 

成果を出せる人事部が成果を出す人事制度をつくる

成果がでる人事制度をつくるためには、「成果を出せる人事部」をつくる必要があります。

 

成果を出せる人事部には、3つのコミュニケーションが必要です。

3つのコミュニケーション

  1. 社長と人事部長(人事担当者)のコミュニケーション
  2. 人事部長(人事担当者)と各部署のコミュニケーション
  3. 各部署長とその部下のコミュニケーション

この3つのコミュニケーションがきちんと機能する仕組みが、現場の声が経営者に届ける秘訣といえます。

 

そのため、「成果を出せる人事部」をつくる上では、以下の適性を持つ人間を抜擢し、人事の専任担当者(人事部長または人事担当者)を決めます。

人事部長・人事担当者の適性

  • 現場の声が聞ける人
  • 社長が相談したいと思える人
  • 秘密厳守ができる人
  • 愛社長精神がある人(社長が好きな人)
  • 遠慮はしないけど謙虚な人

これらの適性を持つ人物を選定し、人事部を立ち上げることが成果を出すための人事制度をつくる、初めの一歩となります。

※愛社精神ではなく、愛社長精神にしている理由には、人事制度の策定には社長の思いや考えが少なからず影響するからです。

 

人事制度・教育体制・社内風土の3つが連動する

人事制度・教育体制・社内風土の3つが連動する

「人事部の仕事は人事制度を作ること」と認識している経営者や人事担当者が多いといえます。

しかし、成果を出せる人事制度は教育体制と社内風土と密接に連動しているため、3つすべてを取り組む必要があります。

人事制度は、3つにわけてつくる

人事制度とは、「等級制度」「人事評価制度」「賃金制度」の3つを合わせた総称です。

中でも「等級制度」が人事制度の根幹であり、「等級制度」に連動させて、「人事評価制度」と「賃金制度」をつくっていきます。

 

各制度の内容は以下の通りです。

人事制度の内容

【等級制度】「職能資格制度」「職務等級制度」「役割等級制度」の3つがある

【人事評価制度】一定期間の社員の成果や行動を評価する仕組みを定めた制度

【賃金制度】基本給や賞与、諸手当などを決定するための制度(退職金・福利厚生も含めて考える場合ある)

それでは、成果のでる人事制度のつくりかたを解説します。

 

成果のでる「等級制度」のつくりかた

職能資格制度、職務等級制度、役割等級制度にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、基本的には3種類の中から選ぶ際は社長の考え方に一番近いものを選ぶことが最善です。

 

しかし、等級制度を作る際、社長の思いだけで等級制度を決めると失敗してしまいます。

流行や社会情勢に応じて、等級制度の核を決めることは、社長の思いと社員の思いがすれ違い、社員の反発や制度自体の形骸化を招いてしまいます。

 

そのため、等級制度を作る際は、社長の思いに加えて、社員の希望や理解度を考慮した上で決めることが大切です。

 

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成果のでる「人事評価制度」のつくりかた

成果のでる人事評価制度をつくるには、「社員が自発的に動き出す評価シート」をつくりだすことが大切です。

 

以下のポイントを意識しましょう。

評価シートのポイント

  • 何を評価するか(評価項目)
  • どう評価するか(評価基準)
    評価基準には「業績評価」「能力考課」「情意考課」の3つ
  • 何段階で評価するか

評価基準である「業績評価」仕事の質、量、業務改善、指導育成監督、目標達成で評価します。

 

「能力評価」まだ身につけていない能力を身につけたかどうか判断ポイントとなります。また、能力評価では等級制度の基準と整合性が連動していることも大切です。

 

「情意評価」は評価者(上司)の感情や感覚を排除し、必ず社員本人の行動を見て、判断しなければなりません。

 

何段階で評価するかも意外と大切です。5段階評価が一般的ですが、評価者のレベルがあまり高くないうちは3段階評価がおすすめです。

 

これらのポイントを押さえることが、自ら考えて自発的に動き、その結果に責任をもって行動する「自責思考型社員」を生み出すことができます。

 

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成果のでる「賃金制度」のつくりかた

賃金制度の作成は、社長の好き嫌い、あるいは主観的な創造で給料を決めることから脱却し、社員の不満や不安を解消する役割があります。

 

そのため、賃金制度は経営理念や採用活動、人材定着など総合的な観点から判断し、自社に最適な賃金テーブルを策定することが求められます。

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賃金制度とは社員に対して語らずして語りかける制度です。

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成果を出せる社員の教育体制をつくる

経営理念や経営目標を達成するためには、成果を出せる社員を輩出する教育体制が不可欠です。

しかし、世の中の多くの企業が「目標達成を掲げるだけで教育体制が確立されていない」、「教育体制は十分なのに目標達成を目指す職場環境ではない」という状況に陥っています。

 

社員に成果を求めるのであれば、成果を出すために徹底したマニュアル教育体制、悩みを相談できる組織のありかたを構築することは必須といえます。

それこそ個人目標の達成はチーム目標の達成につながり、そして会社全体の目標達成につながることを社員ひとり一人が意識し、お互いをフォローし合う、教え合う体制も成果を出す社員の教育体制といえます。

 

人事制度・教育体制を支える社内風土

経営理念に合わせてスタッフが動く社内風土のつくりかたでご紹介していますが、”働きやすさ”を勘違いして、社内風土を紹介する企業が多いといえます。

 

"働きやすさ"でよく見かける「役職に関係なく、さん付けする風通しの良い職場」、「残業がほとんどない」ことが必ずしも”働きやすい職場環境”とは言えません。

 

労働基準法で定められた労働者の権利を侵害する行為は論外ですが、場合によっては「社内風土」を180度変えた上で人事制度を作る必要があります。

つまり、経営者や人事担当者は以下のポイントを意識して、人事制度と社内風土を構築しなければいけません。

 

成果を出す社内風土の特徴

  1. 社内風土は、成果を出す人事制度、教育体制を構築する
  2. 全社員が満足する社内風土の構築は不可能である
  3. 人によって、”働きやすさ”は異なる

2番目の認識はとても大切です。

なぜなら、従来の社内風土に慣れてしまい、成果を出すための社内風土が合わない社員が退職する恐れがあるからです。

 

成果を出せる人事制度の構築は、必然的に成果を出せる人間にとっては、居心地がよく、そうでない人間は居心地が悪くなってしまう社内風土に変化します。

 

しかし、成果を出す人材を輩出するためには「良い社員」よりも「合う社員」を採用しなければなりません。

 

経営者も人事担当者も人材の獲得・定着という経営課題に対して、「風通しの良い職場環境」、「コミュニケーションが取りやすい職場環境」といった幻想に囚われず、現実を直視した上で、成果をだす社員にとって、居心地が良い社内風土を構築する覚悟が必要です。

 

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なぜあなたの会社の人事制度は成果がでないか:まとめ

そもそも人事制度とは、従業員がビジネスパーソンとして成果を出し、仕事もプライベートも充実させるための制度です。

 

しかし、近年の法改正や形だけの働き方改革(早く帰れ、休めだけの号令)により、成果を出す上で企業も従業員も身動きが取れなくなっています。

 

人事制度が機能しないということは、教育体制の不備や人事制度と相いれない社内風土が蔓延しているからといえます。

 

本気で成果を出し、企業と従業員がともに成長をする上では、人事制度、教育体制、そして社内風土を根本的に変え、連動させなければなりません。

そのためには、最もギャップが生まれやすい社内風土から変革していくことが効果的といえます。

 

成果がでる人事制度に必要なこと

  • 人事部がない中小企業は、人事部を立ち上げることから始める
  • 人事制度の形骸化を招く「教育体制の不備」や「社内風土とのミスマッチをなくす」こと
  • 社内風土を改善することで、「良い社員」ではなく、「合う社員」を採用しやすくなる
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  • この記事を書いた人
大橋 高広

大橋 高広

株式会社NCコンサルティング 代表取締役社長|人事コンサルタント・社外人事部長&社外CHRO・ビジネス作家|あなたの会社の採用・育成・定着を強くする人事のプロ|人事評価制度と面談が得意|最近はブランディングとマーケティングのご相談も急増中|著書重版|現状維持は衰退|プラス思考の方と互いに高め合っていきたい|新刊執筆中

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