Pocket

会社で責任のある地位に就くと、同時に部下へのマネジメント能力を問われるようになります。
部下の能力を向上させることは会社の利益貢献につながるため、上司にとって最優先しなくてはならない事項ともいえるでしょう。
部下のモチベーションを最大限に引き出すためには、それぞれの性格や特徴を把握し、タイプ別に合わせた指導を行う必要があります。
とはいえ、上司から一方的に指導するだけでは、部下との信頼関係を築くことができません。

この記事では、部下を持つ上司の方向けに、信頼を築ける部下のタイプ別指導方法とポイントを解説します。

部下のタイプに合わせた指導

初めて部下が自分の下についたとき、または新入社員が入社してきたときなど、どのように指導をすれば良いか、迷う人も少なくありません。
部下ごとに指導方法を変えていると、えこひいきしていると思われかねないため、なるべく平等な指導を心がける上司も多いことでしょう。
部下に対して好き嫌いをするのはいうまでもなくNGですが、部下だからと一括りにして指導を行うのも誤った指導法です。
部下に対しての指導は、一人一人に合わせたタイプ別の指導を行わなくてはなりません。

タイプ別指導の必要性

部下に対する指導と考えると難しく捉えてしまうかもしれませんが、子どもの育成と比較してみると分かりやすいのではないでしょうか。
自分の子どもが何人かいる場合、子どもたち全員に対してまったく同じことを教育し、同じ価値観で育てるのは限りなく不可能に近いといえます。
ほとんどの親が子どもの性格や能力、そのときの状況などを踏まえて指導を行います。

同じ環境で育った自分の子どもたちですら育て方が異なることを考えると、違う環境で育った部下たちに対して、それぞれに見合った指導方法が求められるのは当然のことといえるでしょう。

部下を指導する場合、部下の能力と意欲を図る「レディネスレベル」を用い、タイプ別に分けて指導を行うことをおすすめします。

レディネスとは

レディネスとは、心理学用語の一つで、学習を行う際に必要な環境や条件がそろっている状態のことを意味します。

子どもに学習指導を行う場合、

  • 知識の習得状況
  • 発達水準

に合わせて指導を行います。
これを、

  • 知識の習得状況 → 仕事の能力
  • 発達水準 → 仕事の意欲

に置き換えて判断するのが「レディネスレベル」です。
仕事の能力を「仕事ができるか」、仕事への意欲を「仕事を率先してやるか」で診断してみると、簡単にタイプ分けができます。

4つのタイプ別指導方法

それでは、レディネスレベルの考え方を応用した部下のタイプ別指導方法を解説します。

仕事が「できる」「できない」、仕事を率先して「やる」「やらない」を組み合わせて、部下のタイプを以下4つに分けます。

仕事が「できる」仕事が「できない」
仕事を率先して「やる」タイプ①仕事ができる+率先してやるタイプ③仕事ができない+率先してやる
仕事を率先して「やらない」タイプ②仕事ができる+率先してやらないタイプ④仕事ができない+率先してやらない

タイプ①仕事ができる+率先してやる

仕事に対して常に前向きで、自分の能力を最大限に発揮して効率よく仕事を行うのがこのタイプの部下です。
上司に求められた以上の結果を出してくれることも多く、部下の鏡といえる存在です。

仕事は自発的に行い、進捗状況も上司に定期的に報告します。
周囲に対して協力的で、情報やアイデア、知識などの共有も積極的に行ってくれます。
コミュニケーションをうまく図れるため、リーダーシップ力を存分に発揮し、プロジェクトを成功へと導いてくれます。

指導方法

このタイプの部下に対しては業務を委任し、上司はサポートに回ることを心がけなくてはなりません。
自発的なチャレンジを促し、成果をあげたときは一緒に喜び賞賛してあげましょう。
とても優秀な部下であるため個別に指導を行う必要はありませんが、仕事ができるからこそ上司の間違いも臆さず指摘してきます。
適当で根拠のない返答をしていると信頼を失い、立場が逆転することもあります。
上司は論理的な思考をもって指導を行う必要があります。

タイプ②仕事ができる+率先してやらない

仕事の能力は高いのに、やる気がないのがこのタイプです。
自主的に仕事を行うことを苦痛に感じ、仕事は無理矢理やらされていると感じています。
自分の能力に対して懐疑的で、周囲に対して支援や励まし、慰めを求めます。
頭の回転が速いため、やる気を出したときは驚くほど高い成果を上げますが、基本的にやる気がないので仕事を任せることができません。

指導方法

このタイプの部下に対しては仕事に対するモチベーションを向上させ、その気持ちを維持させることが必要です。
頭が良いので下手におだててもすぐに見抜かれるため、仕事の結果を正当に評価し、具体的に褒めることによって信頼関係を築きましょう。
そのうえで、部下が仕事に対して抱いてる不安な点や不満などについて話し合い、部下のモチベーションを上げるために必要な情報を聞き取ります。
部下が不満に感じている点を改善し、やる気の起きる環境を用意することで、本人も仕事に対するモチベーションが上がり、成果をあげてくれるようになります。
またやる気を維持するために、定期的な1on1ミーティングも効果的です。

タイプ③仕事ができない+率先してやる

新入社員で多いのがこのタイプではないでしょうか。
やる気だけは人一倍あるのに、実践能力が低いため即戦力にならないタイプです。
また、入社して何年も経過しているのに、仕事を効率よくこなせない社員もいます。
誰よりも積極的に仕事を引き受け、新しい情報に興味を示しますが、大事な場面で失敗してしまうため、仕事を一任することができません。

指導方法

このタイプの部下には対話を通じて、上司の考えや仕事内容をじっくり説明する必要があります。
課題を投げかけるときはどの程度理解できているか、必ず本人の理解度を図る質問を行い、本人からも疑問点があれば質問するように促しましょう。
また、理解力が人よりも遅いため、一度に数多くのことを教えるとパンクしてしまいます。
ゆっくりと育てることを前提にし、部下のミスに対してすぐにサポートできるよう、環境を整えておくことが大切です。

このタイプを指導するうえで気を付けなくてはならないのが、放置によって本人のやる気を損ねないことです。
サポートをするのが面倒だからといって仕事を任せなくなると、本人のやる気まで奪ってしまいます。
手取り足取りの指導にはなりますが、サポートしながらでも仕事を一つずつ教えていくことが必要です。

タイプ④仕事ができない+率先してやらない

仕事のやる気も能力もない部下がこのタイプです。
能力が低いのでどんな仕事を任せてもうまくいかず、自主的に解決しようという気持ちもないため、努力すら行いません。
指示されたとおりのことしか実践せず、仕事に対する責任感もありません。
仕事ができないのに不平不満や言い訳が多く、そのくせ権利は一人前に主張するので、頭を悩ませている上司も多いことでしょう。

指導方法

この手の部下は、自分が仕事ができないことを自負しているため、自己防衛心が最初に働き、仕事を覚えることよりも失敗しないことや責任を逃れることに重点を置いています。
そのため、まずは部下に対して具体的に指導し、細かい指示を出すことが上司には必要とされます。
プレッシャーを与えすぎないよう指示も1度にたくさん出し過ぎないこと、話し合いの場を何度も設けてコミュニケーションを深めることが大切です。

部下が失敗したときも頭ごなしに叱りつけるのではなく、まず話を聞いてあげることで相手の承認欲求を満たし、そのうえで注意を行います。
注意をしたあとは、まず自分で対策を考えさせます。
次にそれを確認し、方針が正しかった場合はもう一度承認してあげることで、部下は注意されても自分が認められていると感じ、やる気を失わせずに済みます。

部下指導のポイント5つ

部下の指導で大切になってくるのがコミュニケーション能力ですが、ただ一方的に叱りつけているだけでは当然コミュニケーションを図ることができません。
部下をうまく指導するためにコミュニケーションを図るには、お互いを尊重しながら主張しあえる「相互尊重」を心がける必要があります。
具体的には以下の対応を心がけましょう。

事実を絡めた具体的な内容で褒める

部下が成果をあげたときは一緒になって喜び、掛け値なしで褒めてあげましょう。
「君の集めたデータが顧客視点で役に立った」など具体的な事実を伝えて褒めることが重要です。

具体的な事実で叱り解決策は共有する

部下がミスを犯したときは、必要以上に過大に叱ったり、人前で叱ることはNGです。
レポートのミスや納期遅れ、その結果起こった問題など具体的な事実を指摘し、本人にミスの大きさを実感させます。
解決策を見いだした場合は、本人だけに解決させるのではなく、すぐに周りへ情報共有しましょう。
今後、同じようなミスが起きたときやサポート体制を整えるために、解決策を周知させておくことが大切です。

ミスを認めて部下に謝る

自分(上司自身)がミスを犯したときは、体裁を取り繕うことを考えず、すぐに・端的に謝ることが求められます。
部下より上司は秀でてなくてはならない、ミスは恥ずかしいと思うかもしれませんが、自分がミスを素直に認めることで、部下も失敗やミスを報告しやすくなります。

権限を委ねる

部下に業務を一任するのは不安になりますが、人材育成をするうえでとても有効な方法の一つです。
仕事を任せるときにその理由や目的を明確に伝え、あとは一切口出しをせず見守ることが大切です。
上司に一任されたことで部下は信じて任せてもらっていると感じ、遺憾なく実力を発揮してくれることでしょう。

ホウレンソウの徹底

報告・連絡・相談を略して「ホウレンソウ」と呼びますが、社会人の基本として最初に学ぶことの一つです。
しかし、部下に「ホウレンソウ」を求める上司はいても、上司から部下に「ホウレンソウ」を実施しているケースは少ないといえます。
役員会で決定した結果や今後の会社方針など、どんな些細なことでも部下に「ホウレンソウ」することで、部下も自分が会社の一員であることを実感できます。

まとめ

実務をこなしながら部下の育成や指導を行うのは、とても難しいものです。
しかし、自分の下に配属された部下がどのようなタイプかを把握することで、指導もスムーズに行えるようになります。

どのようなタイプであれ共通していえるのは、コミュニケーションをしっかりとることが重要であるということです。
対話の中で部下の不平不満や悩み、眠っていた能力を見いだし、部下の能力を向上させる施策を立てられるようになることでしょう。

Pocket