人材育成とは:「人が育つ企業と育たない企業の違い」

本格的な少子化時代を迎え、いずれの企業も「採用」に力を入れています。
採用はとても重要ですが、それと同じくらい、あるいはそれ以上に重要なことは採用した社員を「いかに育てるか」ということではないでしょうか。

今回は人材育成についてお話したいと思います。

人材育成とは何か

人材育成とは計画に基づいて、人を育成していくことですが、「計画に基づいて」というところが肝となります。
つまり「育成計画」です。

企業において、「計画に基づいて」と聞くと真っ先に「売上計画」を思い浮かべる方が多いと思います。
確かに売上計画のない企業はあまり見かけませんが、育成計画のない企業は意外とあるのではないでしょうか。
特に人事部がない中小企業に育成計画はありません。

人事部がないということは、そもそも「人をどのように育てていくか」という発想自体もないのです。

一方、育成計画がない企業でも人が育つケースはあります。なぜでしょうか?
それは、「たまたま」としか言いようがありません。

以前聞いた話ですが、プロ野球の名監督と呼ばれた方が次のような言葉を残したそうです。
「勝ちに不思議な勝ちあり。負けに不思議な負けなし」
原因はよく分からないが、たまたまうまくいって試合に勝つことはあっても、負けには必ず原因があるのだそうです。

これは人材育成においても言えるのではないでしょうか。

たまたまではなく、理由があって人が育つ企業こそ、これから伸びていくのです。

育成計画に必要なもの

人材育成において、育成計画が重要であることがお分かりいただけたと思います。
しかし、育成計画と言ってもどのように作れば良いのでしょうか。

計画には必ず目標があります。売上目標があってこそ、売上計画があるのと同じです。
育成計画にも「このような社員になって欲しい」という目標が必要なのです。

その目標のベースとなるのが「等級制度」です。

人事部があり、人事評価制度を導入している企業であれば必ず等級制度が存在していると思います。
等級制度とは社員を格付けする制度ですが、例えば1等級の社員は2等級を目指し、2等級は3等級を目指すわけです。
一つ上の等級を目指し、与えられた役割を全うし、社員は成長していくのです。

これは、ある意味育成計画そのものではないでしょうか。

第1章で、「人事部のない中小企業には育成計画もない」といったお話をさせていただきましたが、育成計画が等級制度と通じることをご理解いただければ、その理由もお分かりいただけると思います。

間違ったOJTが成長を阻害している!

人材育成において、多くの企業が採用している方法としてOJT(On the Job Training:オン・ザ・ジョブ・トレーニング)があります。会議室や研修室ではなく、仕事の現場で実務を行いながら指導・育成を行う方法です。

この方法であれば、現場経験をさせながら人材育成もできるため、いわゆる「一石二鳥」となるわけです。
しかし、あくまで「うまく機能すれば」の話です。

OJTにおいては、先生役の先輩社員と生徒役の新米社員がいるわけですが、「手とり足とり」先輩社員が新米社員を指導・育成しなければなりません。
一方、当然ながら先輩社員には本来の仕事がありますので、自然と次のような優先度になるわけです。

本来の仕事>新米社員の指導・育成

企業としても目先の売上数字を作っているのは先輩社員が行う「本来の仕事」です。
万が一、指導・育成に手を取られたために、「納期遅れ」などが発生すれば一大事です。
先輩社員もそのようなことは百も承知ですし、人間ですから怒られたくもありません。結果的に指導・育成が「面倒くさい」ことになってしまうのです。

これでは、人材育成どころか、新米社員の仕事に対するモチベーションにも悪影響を及ぼしてしまいます。

これは、人事部のない中小企業、つまり育成計画がない企業で起こる典型的な事例です。
新米社員の指導・育成が仕事になっていないのです。

「Aさん、今日入ったBくんです。後は頼みましたよ!」といったイメージでしょうか。

教えることが仕事になる!

では、どうすればOJTを機能させることができ、人を育てることができるのでしょうか。

もちろん人事部をつくり、育成計画をつくることは大前提ですが、さらに平たく言うと「人材育成を仕事にする」ということです。
「仕事にする」ということは評価の対象にもなり、給与や処遇にも影響を与えるわけです。

本来の仕事=新米社員の指導・育成

先輩社員にとってはプラスアルファの働きが求めらますが、企業としても「評価」という形で報いるのです。
また、一人の先輩社員にとって本来の仕事に従事する時間が減るわけですから、他メンバーの協力も不可欠でしょう。
それも評価することが必要です。

つまり、会社全体として人材育成の体制を整備しなければならないのです。これが「育成計画」の基本となるわけです。

少数精鋭の中小企業において、人材育成の体制を整えるのは大変だと思います。
しかし「人材」が何より大切な経営資源であるのもまた、中小企業なのです。

まとめ

以前は「技術は目で見て盗む」といった時代もあったと思います。
直感的に共感できる方もいらっしゃるかもしれませんが、もはや「そんな時代ではない」と気づいているのではないでしょうか。

お金はもちろん大切ですが、人はそれだけに価値を求めて働いているのではないと思います。
「仕事にやりがいを感じる」、「成長を実感できる」といったことにも価値を感じ、それが人材の定着にも繋がっていくのです。

ぜひ、「気づき」を行動に移していただきたいと思います。

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大橋 高広
株式会社NCコンサルティング 代表取締役社長|人事コンサルタント・研修講師|東洋経済オンライン記事投稿・日本経済新聞での書籍紹介│新刊『リーダーシップがなくてもできる職場の問題30の解決法』(日本実業出版社)Amazonランキング「マネジメント・人材管理」6位│その他著書『バカはブラック企業に入りなさい』(徳間書店)、『人事部のつくり方』(主婦の友社)│人事制度の設計と運用・管理職研修・職場改善研修・新卒研修・若手社員研修など「人事評価制度の設計と運営」を軸に、「組織文化形成・管理職育成・職場改善」など人事全般に関するサポートを提供