辞めていく社員を出さない!人事部が取り組むべきこととは

人材は企業にとって大事な構成の一つです。
現在求人倍率も1.7倍と年々上昇しており、中小企業にとっては、なかなか確保が難しくなっています。

さて、その中で、退職者が増加している企業もあります。また採用すればいいと考えても人がこないと嘆いている企業も多いでしょう。

今回は流出を防ぐために「辞めていく社員を出さない!人事部が取り組むべきこととは」をご紹介します。

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なぜ社員が辞めていくのか

なぜ社員が辞めていくのでしょうか。
退社時に社員が、退社理由を話しますが、それは本音といえるのでしょうか。

リクナビの転職理由のランキングでは、

1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
2位:労働時間・環境が不満だった(14%)

3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
4位:給与が低かった(12%)
5位:仕事内容が面白くなかった(9%)
6位:社長がワンマンだった(7%)
7位:社風が合わなかった(6%)
7位:会社の経営方針・経営状況が変化した(6%)
7位:キャリアアップしたかった(6%)
10位:昇進・評価が不満だった(4%)

【引用】転職理由と退職理由 │リクナビ 

このようなデータが出ています。
上位3位が人間関係による退社です。
ですが、退社する際、このような退社理由を人事部は把握できているのでしょうか。
実際のところ本音を言わず円満に退職しようとする社員が多いと感じます。

実際、人間関係といえど、その奥には、「Bさんよりも、給料に見合った評価がされない。」といったような、「給料」や「評価体系」も絡んだ人間関係の問題からの退職もあります。

実際、このような「給料」「評価」は、人事改革によって改善できる点ではないでしょうか。

人事部が取り組むべき課題とは

辞めていく社員の流れを止めるには、人事部が本音に向き合い「人事制度」に反映する必要があります。

では、実際、人事部はヒアリングができているのでしょうか。

よく「うちの会社は、社員と飲み会を開き、日常的に社員の考えを把握している」という会社が多いです。
ですが、社員は不満をそのような席でいうでしょうか。

答えはNOです。

私がかねてからお伝えしているのは、「仕事してのコミュニケーション」の場を作ることです。

社内関係者のヒアリングは、社員にとって、デメリットがあります。
「不満を上層部に伝わるかもしれないという不安」と自分の「昇進や仕事に影響が出るのではないか」と考えます。

そのため、このコミュニケーションを成立させるには、

  • 業務時間内もしくは、仕事としてヒアリングすること
  • 秘密の厳守

が重要です。ヒアリングの場所も配慮する必要はあるでしょう。

現場に寄り添ったコミュニケーションから、前文でいったような「Bよりも仕事をしているのに、見合った給料がもらえない」という本音を聞き出したとします。

この不満は「誰が客観的に見ても説明のつく、公平な人事評価制度がない、もしくは、あったとしても賃金制度に結び付いていない」ことが問題ということになります。

その場合は、この不満から人事部レベルで、人事制度を改善することで、同じ理由で退社する社員を減らすことができるのです。

現場レベルで対応する方法

では、人事部だけで、人事制度改革はできるのでしょうか。

答えはNOです。

人事制度を実際に機能させるためには、

  1. 社長と人事部長のコミュニケーション
  2. 人事部長と各部長のコミュニケーション
  3. 各部長とその部下とのコミュニケーション

が機能しないと、ただの形式だけの制度になってしまいます。

この中で、(3)の「各部長とその部下とのコミュニケーション」に今回はフォーカスしてみます。
現場でどのような不満や不都合があるのかをよくわかっているはずなのが、「各部長」「その部下たち」です。
では、このコミュニケーションをどのように運営すればいいのでしょうか。
各部長の「評価スキル」「ヒアリングスキル」をあげることにつきます。

管理職は、マネジメントはできても、「評価スキル」はそもそも備わっていません。そのため、「評価スキル」をあげることで、現場の状況もヒアリングもでき、会社としての意図も部下に伝えることもできます。

人事部として、管理職に対して

  • 「評価スキル」を伸ばすための研修制度を提供すること
  • 評価者会議を定期的に開くこと

を行うようにしましょう。

評価者会議がなぜ重要か

社内で、営業会議はするけれど、評価者会議はしたことがないというところは多いのではないでしょうか。
特に営業は数字・売上に直結しますが、「評価」「人事」は売上に直結するのが見えにくく後回しにしている企業も多いです。

しかしながら、評価者会議をすると、評価者が発表する機会があるため、課員の評価をしっかりみないといけないという意識付けと、評価者である管理職が人事部や経営者側からのフィードバックをもらえるため、スキルが身に付きます。

評価者スキルがあがると、日々の業務において部下に対しての評価時だけでなく、継続的に観察するようになるため、より妥当な評価をあげることができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
社員と密にコミュニケーションをとることで、適切な評価や社内の改善点を知ることができます。
人事部では、そのヒアリングした内容を実際に人事制度に反映することが可能になります。

人事で損する『企業』と『人』をなくしたい

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ABOUT US
大橋 高広
株式会社NCコンサルティング 代表取締役社長|人事コンサルタント・研修講師|東洋経済オンライン記事投稿・日本経済新聞での書籍紹介│新刊『リーダーシップがなくてもできる職場の問題30の解決法』(日本実業出版社)Amazonランキング「マネジメント・人材管理」6位│その他著書『バカはブラック企業に入りなさい』(徳間書店)、『人事部のつくり方』(主婦の友社)│人事制度の設計と運用・管理職研修・職場改善研修・新卒研修・若手社員研修など「人事評価制度の設計と運営」を軸に、「組織文化形成・管理職育成・職場改善」など人事全般に関するサポートを提供