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2018年問題で雇用はどう変わるのか??

2017年11月20日

「2018年問題」
耳慣れない言葉ですが、従業員を雇用している経営者にとっては大きな転換期となるかもしれません。

ここ数年、大企業を中心に「パート社員を正社員にする」といったニュースを見聞きした人も多いと思いますが、この2018年問題が関わっているのです。

2018年問題とは

2018年問題とは、「労働契約法」の改正に伴い2018年4月から新しいルールが適用され、その際に起こるさまざまな問題の総称を指した言葉です。

従業員を雇用する場合、必ず「労働契約」を締結するのですが、「賃金」や「労働時間」、「休日」などの内容は必ず明記しなければなりません。
このように労働契約に際してのルールを定めた法律が「労働契約法」です。

実は、2013年4月に労働契約法の大きな改正がありました。
改正の目玉は「無期労働契約への転換」です。

「同一の使用者との間で、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合、有期契約労働者は無期労働契約への転換を申し込むことができる」という内容なのです。

例えば、2013年4月以降、1年間の有期労働契約を繰り返してきた「パート社員」は2018年3月末で通算5年間の有期労働契約を終了しますが、2018年4月以降の契約に際しては、「有期」ではなく、「無期」の契約を申し込むことが可能になるわけです。
※パート社員は「無期の申し込みをしない」という選択肢も可能です。

そして、申し込みを受けた経営者は拒否することができません。

この「2018年4月以降」というところから、2018年問題と呼ばれるようになったのです。

しかし、なぜ「問題」なのでしょうか?

2018年問題は、なぜ問題なのか

今回の労働契約法の改正により、「パート社員」や「契約社員」は毎年訪れる「契約更新」に対する不安から解消されることになると思います。

いわゆる「リーマンショック」後の不景気により、「非正規社員」と呼ばれる派遣社員やパート社員などの方々が一斉に解雇されるという現象は社会問題にもなったことは記憶に新しいところです。
従って、今回の改正により労働環境の改善が実施されることには大きな意味があると言えるのですが、一体何が問題なのでしょうか?

  1. 従業員側の誤解
    これまでの「有期契約」から「無期契約」への変更は、「非正規社員」から「正規社員」への変更を意味するものではありません。
    確かに「今度も契約更新してくれるんだろうか?」という不安から抜け出すことはできますが、いわゆる「正社員」になることを保証するわけではないのです。
    「賃金体系」や「福利厚生」といった処遇は有期契約時代と全く変わらないことも十分に考えられます。
    この点を従業員はしっかりと理解しておかなければなりませんし、会社側にも適切な説明が求められます。
  2. 人件費増の可能性
    今回の法改正は、会社側に「正社員化」を義務付けるものではないと申し上げましたが、会社によっては、無期契約への変更タイミングで「正社員」にする可能性もあるのではないでしょうか。
    ご承知のとおり、今は「人手不足」の時代であり、この傾向は今後激しさを増していくことが予想されます。
    会社にとって少しでも有能な従業員を確保するために「正社員化」という切り札を出す可能性が高いのです。
    従業員側にも事情はあるかもしれませんが、「無期契約社員」よりも「正社員」の方が良いと考えるのが普通ではないでしょうか。
    ということは、法律に基づく最低限の義務、つまり「無期契約」を締結する会社よりも、時期が来れば「正社員」として契約してくれる会社に人が流れていくことになるのです。
    この流れを止めるために、やむを得ず「正社員化」に対応する会社もあるでしょうから、そのような会社にとっては「人件費増」のきっかけとなってしまうのです。

2018年問題をきっかけとした新しい雇用形態の登場

最近、ニュースや新聞などで「限定社員」といった言葉を見聞きしたことがないでしょうか。

例えば、全国展開する衣料小売の会社、あるいはコーヒーチェーンの会社において「地域限定社員」という制度を設けています。
正社員ではあるものの、転勤はなく勤務地を限定する一方、賃金待遇に差をつけた雇用形態です。
「地域」を限定するケースもあれば、会社によっては「仕事内容」や「勤務時間」を限定するケースもあります。

この限定社員という雇用形態ですが、2018年問題への対応策として、大企業だけでなく中小企業からも注目を集めているのです。
その理由は、従業員側、会社側それぞれのニーズを満たすものだからです。

  • 従業員側のニーズ
    「無期契約」よりも「正社員」になることが理想ではあるが、家庭の事情などもあり勤務できる時間などには配慮して欲しい。
  • 会社側のニーズ
    正社員並の賃金は負担が大きいため、少しでも低い賃金で正社員化を実現したい。

中小企業では従業員一人ひとりが持つ重要度は大企業の比ではなく、例えば事務作業はパート社員の方が一手に引き受けているというケースも珍しくありません。

仮に、このパート社員の方を2018年問題への対応として「正社員」にすることを検討した場合、先程のニーズが浮上してくる可能性があるのですが、その際には「限定社員」という雇用形態は双方にとって有益な結果をもたらすことになるのです。

まとめ

冒頭に申し上げた、「パート社員を正社員にする」の背景には、人材難への対応はもちろん、法改正による2018年問題の影響もあることがお分かりいただけたと思います。

一方、中小企業経営者、人事担当者におかれては、「正社員にはしたいが、人件費負担はできるだけ抑えたい」という本音も見え隠れしています。
法律への対応は当然ですが、大切なことは「自社にあった雇用形態」であり、「何はできて、何はできないのか」をしっかりと見極めた上でのアクションではないでしょうか。

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  • この記事を書いた人

大橋 高広

株式会社NCコンサルティング 代表取締役社長|人事コンサルタント・ビジネス作家|東洋経済オンライン記事投稿・日本経済新聞での書籍紹介│新刊『リーダーシップがなくてもできる職場の問題30の解決法』(日本実業出版社)Amazonランキング「マネジメント・人材管理」6位│その他著書『バカはブラック企業に入りなさい』(徳間書店)、『人事部のつくり方』(主婦の友社)│人事制度の設計と運用・管理職研修・職場改善研修・新卒研修・若手社員研修など「人事評価制度の設計と運営」を軸に、「組織文化形成・管理職育成・職場改善」など人事全般に関するサポートを提供

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