新入社員の残業嫌いはやる気の欠如ではなく、効率性・自己管理・人生のバランスを重視する、価値観の表れです。
上司が、頭ごなしに否定したとしても解決できません。
今回は部下やスタッフ教育で頭を悩ませている管理職のマネジメントについて、解説します。
新入社員を育成するためには
徹底した新入社員研修と管理職研修が必要です
「人事制度の設計・運用」と「マネジメント研修」の専門家。株式会社NCコンサルティング(大阪府大阪市中央区南船場) 代表取締役社長。関西経済同友会 若手の会 幹事。
残業を避ける新入社員が増えている社会的背景とは

まずは残業を避けたい新入社員が増えている社会的背景を整理しましょう。
残業規制を始め、残業ではなく、効率性を重視する風潮になった社会的背景は以下が考えられます。
- 働き方改革と法的環境の影響
- ワークライフバランス重視の価値観
- 生産性と効率への意識
- 健康・メンタルヘルスへの配慮
- 会社への帰属意識の変化
働き方改革と法的環境の影響
長時間労働の是正や「残業=美徳」という価値観の見直しが、国や企業全体で進んでいます。
また、労働基準監督署の監督強化や、36協定の上限規制なども背景にあり、残業を避ける行動は「ルールを守る」意識という考え方が新入社員だけでなく、世間一般的に広がっているとも言えます。
ワークライフバランス重視の価値観
Z世代やミレニアル世代は「仕事=人生の全て」ではなく、「仕事は生活を豊かにする手段」と考える傾向が強く、残業よりも家族や友人との時間や自己投資、副業・趣味を優先する文化が定着しつつあります。
生産性と効率への意識
「残業をしない=怠けている」ではなく、「残業をしない=効率的に働く」という価値観を持つ人も増えています。
ダラダラと会社に残るより、定時までに成果を出すことを重視するため、不要な残業は避けようする新入社員が増えています。
健康・メンタルヘルスへの配慮
過労や燃え尽き症候群を避けたい意識が高まっています。
心身の健康を守るために、無理な残業をキャンセルすることを「自己防衛」として捉えてるケースもあります。
会社への帰属意識の変化
「会社のために残る」という考えより、「自分のキャリアやライフスタイルを優先する」姿勢が一般化しています。
転職市場が活発であることも背景にあり、「無理をしてまで会社に尽くす」メリットが相対的に薄れています。
新入社員を育成するためには
徹底した新入社員研修と管理職研修が必要です
管理職と新入社員が考える常識のズレ

そもそも残業に対する考え方の違いは、管理職と新入社員が考える常識にズレがあります。
その大きな要因は、上司と新入社員が考える常識のズレにあります。
9時開始の会議の考え方
「明日は9時から会議が始まります」
こう聞いた時に管理職と新入社員が考える常識が異なる可能性があります。
30代以上の管理職は下記のように解釈します。
9時と同時に会議が開始できるように参加者全員が9時前に会議室に集まっていて、着席している状態
しかし、新入社員が考える常識は以下となります。
9時くらいから参加者が集まり始める状態
上記のように「9時開始」ひとつを取っても考え方や常識が全く異なるため、管理職は自分が考える常識が正しいと考えるのではなく、新入社員が考える常識を知る必要があります。
管理職が新入社員の常識に合わせるのではなく、「自分が考える常識と新入社員が考える常識はそもそも異なる」ということを理解することが大切です。
新入社員を育成するためには
徹底した新入社員研修と管理職研修が必要です
褒めるだけのマネジメントが組織を崩壊させる

新入社員が受け持つ仕事の物量に対する考え方や感じ方も大きく異なります。
仕事量に対する考え方や感じ方の違い
そもそも「なぜ残業しないといけないのか?」「残業しなくて良いのか?」という考え方が生まれるのは、仕事量に対する認識の違いが影響しています。
残業を避けたがる新入社員は、自分に割り振られている仕事量は「会社や上司が自分に多すぎる仕事を与えている」と考えています。
しかし、会社や管理職は「業務時間内に終わるレベルの仕事しか与えていない」と考えています。
つまり、新入社員が残業しないと終わらないのは「仕事を与えられている新入社員の能力が低いため」ということが考えられます。
褒めるマネジメントの弊害

では、「なぜ、こうした認識の違いが見られるのか?」という要因は、管理職のマネジメントにあります。
それは、ハラスメントを恐れて、新入社員に「褒めてばっかり」のマネジメントが原因と言えます。
仕事の遅さや処理能力の低さは、自分の能力の低さに直結していることを伝えないまま、育成をしているからです。
つまり、褒めてばかりの育成をしていると、新入社員の自己肯定感だけが上がってしまい、以下の考え方につながります。
「自分は元々優秀だから、残業しないと終わらないのは、多すぎる仕事量を与えている会社と上司の責任だ」
↓
だから、残業してまで仕事を終わらせる必要はない
大前提として一般常識として過労死ラインを超えるような量の仕事の割り振りは論外となります。
新入社員を育成するためには
徹底した新入社員研修と管理職研修が必要です
管理職がすべき残業を避ける新入社員への対策

残業を避ける新入社員を教育・育成するためには、2つしか方法はありません。
本人に正しい現在地を伝える
褒めてばかりで自己肯定感だけが上がってしまう新入社員には、「管理職が本人に正しい現在地を伝える」ことが大切です。
会社や管理職が考える期待値を伝えて、現状のギャップをしっかり伝えることが大切です。
期待値と現状のギャップを伝えることは、ハラスメントではなく、人材育成のひとつです。
1on1によるネガティブフィードバックを実施することが大切です
残業を避けることで影響を受ける人の共有
人材育成のひとつとして、新入社員が残業を避けることで、隣の人に影響があることも伝える必要があります。
つまり、業務時間内に仕事が終わらなかったことで、管理職や同僚、クライアントにも説明したのかどうかも確認することが大切です。
新入社員研修の徹底が大切

中小企業をはじめ、新入社員研修を徹底している企業が少ないと言えます。
近年では、電話を取りたくない若い人が増えていると言われています。
では、新入社員に電話を取ってもらうためにはどうすべきか?
↓
新入社員研修で社会人の基本を徹底的に教えることが大切
そもそも、経営者や管理職が考える常識と新入社員が考える常識には大きなズレがあります。
経営者が考える、新入社員が持ち合わしている一般常識は、自分たちが考える以上に低いと考えなければなりません。
社会人の基本を教える研修(新入社員研修)で、ビジネスマナーやホウレンソウの大切さを徹底的に教えることが大切です。
ホウレンソウの大切だけでなく、ホウレンソウのやり方から教える必要があります。

「経営者や管理職が考えている基礎ではなく、もっとスタート位置が低い基礎から始めなければならない」ことを認識することが大切です。
新入社員を育成するためには
徹底した新入社員研修と管理職研修が必要です
【1枠限定】毎月第一・第三水曜日15時に無料相談会実施中
現在、大橋高広公式サイトでは、枠限定で無料相談会(60分)を実施しております。ぜひこの機会にご利用ください。
※次回の候補日が予約可能になるタイミングは直近の予約可能日を過ぎた後となります。
例)9月17日の日程可能になるタイミング:9月3日16時以降に予約可能
近年、仕事が終わっていないにも関わらず、定時で帰る新入社員に頭を悩ます経営者や上司が増えています。