従来の「採用一辺倒」の戦略は限界を迎え、「人材育成と定着」が企業の存続を左右する時代です。
本コラムでは、多様性の時代においても不変の「仕事の原理原則」と日本古来の「和の心」を用いて、自分で考えて動ける社員を育成する具体的な解決策と、第三者の専門家を活用した「習慣化」の仕組みについて解説します。
自分で考えて動ける社員をつくる
仕事の原理原則研修
激動の時代、中小企業が直面する「採用一辺倒」の限界

近年、深刻な人手不足や法改正、物価高による賃上げ圧力など、中小企業にはこれまでにない重い負担がのしかかっています。
このような環境下で、多額のコストをかけて人員を補充するだけの「採用一辺倒」の戦略はすでに限界を迎えています。
厳しい経営環境の現状を整理し、企業が生き残るために不可欠な「採用偏重」から「人材育成と定着」への戦略転換の重要性について解説します。
法改正や賃上げ圧力によるかつてない負担が増える
近年の激動する世界情勢や、長引く円安の影響による外国人労働者の減少は、日本の労働市場において決定的な人手不足を引き起こしています。
また、国内に目を向ければ、働き方改革に伴う労働時間規制の厳格化や、ハラスメント対策関連法の施行など、労働者を保護する法改正がかつてないスピードで進められています。
加えて、昨今の急激な物価高騰や、国民の生活不安を背景とした総選挙の結果などにも表れているように、国民からは「賃上げ」や「待遇改善」を求める声がかつてなく強まっています。
【参考】賃上げ回答は平均5.26%、中小は5.05% 人材確保優先で高水準持続│日本経済新聞
その結果、大企業とは異なり、潤沢な資金を持たない中小企業や事業者側には、これまでにない重い負担と迅速な対応が求められる極めて厳しい経営環境が到来しているのです。
「採用偏重」から「人材育成と定着」への転換期
こうした未曾有の人材難とコスト増の時代において、多くの中小企業が陥りがちなのが、高額な採用広告費や人材紹介費をかけてとにかく人員を補充しようとする「採用一辺倒」の人事戦略です。
しかし、企業が欲しいと思う人材を採用すること自体が非常に難しい現在、この戦略はすでに限界を迎えています。
高いコストをかけてせっかく採用しても、社内の受け入れ態勢や育成環境が整っていないと、若手社員はすぐに辞めてしまい、結果として時間とお金を垂れ流すだけの悪循環に陥る企業が後を絶ちません。
これからの企業が生き残るだけでなく、今後、事業承継やM&Aなどを通じて未来へと組織を力強くつないでいくことを検討している経営者も、人事採用戦略を「採用偏重」から「人材育成と定着」へと大きく舵を切り、社員が自ら成長して定着する「持続可能な組織」をつくることが何よりも急務となっています。
自分で考えて動ける社員をつくる
仕事の原理原則研修
経営者と若手社員の間に広がる深い「価値観のズレ」

人材育成を進める上で壁となるのが、経営者層と若手社員との間に存在する「価値観のズレ」です。
競争を勝ち抜いてきた経営者が思う「高収入」とは裏腹に、若手人材の約7割は「終身雇用」を求めています。
新入社員の意識調査データをもとに若手の本音を紐解くとともに、多様性の時代において経営者が「そんなことまで?」と思うような「組織の当たり前」を共有し直す必要性について解説します。
新入社員の約6割が望むのは「競争」ではなく「安定」
創業期から熾烈な競争環境を勝ち抜いて自らの会社を成長させてきた経営者や、プレイングマネージャーとして自らの力で成果を上げてきた35歳以上の管理職は、自らの成功体験に基づき「高収入であること」こそが若手人材のモチベーションになり、定着の鍵になるはずだと見誤りがちです。
しかし実態は全く異なります。
学校法人産業能率大学総合研究所が発表した「2025年度(第36回)新入社員の会社生活調査」によれば、新入社員の約6割(56.3%)が「年功序列制度」を望んでいるという結果が出ています。

また、働く上で企業に求めるものの順位を見ても、1位が「長期的な安定性(77.8%)」、2位が「将来の成長性(55.6%)」、3位が「社員への福利厚生の拡充(51.2%)」となっており、高収入や競争を求める声は上位にはありません。

彼らが心から求めているのは、過度な競争ではなく、安心できる居場所と着実な成長なのです。
現代は「多様性の時代」であり、言葉の受け取り方一つとっても世代間で大きく異なります。

例えば、「午前10時から会議が始まる」と伝えた際、ベテラン社員であれば5分前には着席しているのが常識でも、若手のなかには「10時になったら人が集まり出す時間だ」と認識する人が一定数存在します。
経営者や管理職からすれば「そんなことまで一から教えないといけないのか?」と呆れるようなことでも、今の時代はそうした「組織における当たり前の基準」から丁寧に共有し直さなければ、期待通りに活躍する人材は決して育たないという現実を直視しなければなりません
自分で考えて動ける社員をつくる
仕事の原理原則研修
時代が変わっても不変な「仕事の原理原則」と「和の心」

価値観が多様化する現代で「自分で考えて動ける社員」を育てるには、時代が変わっても不変の「仕事の原理原則」の浸透が不可欠です。
プロとしての当事者意識を持つ「心構え」、事実と意見を分ける「報連相」、確実にやりきる「仕事の進め方」の3つの柱を解説します。
さらに、流行りのドライなKPI管理ではなく、日本古来の「和の心」を基盤とした質の高い人材定着のメカニズムをご紹介します。
自分で考えて動くための3つの柱
価値観が多様化し、従来の当たり前が通用しない現代において、社員を「会社のことを理解した上で、自分で考えて動ける人材」へと育成するためには、どんなに時代が変わっても決して色褪せることのない普遍的な「仕事の原理原則」を社内に浸透させることが不可欠です。
具体的には、以下の3つの柱から成ります。

上記は以下コラムで詳細を説明しておりますので、ぜひご覧ください。
ドライなKPI管理ではなく「和の心」を基盤にする
弊社では、これらを指導するにあたり、昨今流行しているドライな「KPI(数値管理)マネジメント」といったトレンド視点や法令視点に偏ることはありません。
異なる力を持つ者同士が互いの立場を思いやり、一つの大きな目標に向かって心を合わせて行動する日本古来の組織づくりの考え方である「和の心」を大切にし、これを原理原則と掛け合わせることで、初めて質の高い人材の定着を実現できると考えています。
自分で考えて動ける社員をつくる
仕事の原理原則研修
言いにくい本音を代弁し、行動を「習慣化」する仕組み

「仕事の原理原則」のような本質的な指導は、ハラスメントリスクが高まる昨今、社内の上司から直接伝えるのが難しくなっています。
言いにくい本音を経営者視点で代弁する「第三者の専門家」の活用メリットを解説します。
さらに、社員教育で陥りがちな「研修→実践→忘却」のサイクルを断ち切り、低コストなオンライン研修を通じて社員の行動を「習慣化」させるための具体的な仕組みについてお伝えします。
ハラスメント時代における「第三者の専門家」の絶大な効果
しかしながら、この「仕事の原理原則」や「給料が上がるメカニズム」「会社のルールを守るべき理由」といった本質的なテーマは、労働時間規制やハラスメント対策に敏感にならざるを得ない現代において、社内の経営者や直属の上司から直接伝えることは非常に難しくなっています。
ともすればパワハラと受け取られかねないからです。
だからこそ、第三者の専門家が「経営者視点」に立ち、現場実践の豊富な経験をもとに、会社からは言いにくい本音をしっかりと代弁することが絶大な効果を発揮するのです。
「研修→実践→忘却」のサイクルを断ち切るオンライン研修
社員教育において最も避けるべきは、立派な研修を一度実施しただけで満足してしまうことです。
人間の性質上、どうしても「研修→実践→忘却」というサイクルを辿り、慣れとともに元の状態に戻ってしまいます。
効果を継続させるためには、このサイクルを「研修→実践→忘却→研修→実践」という「習慣化」の仕組みへと昇華させる必要があります。
大橋高広の「仕事の原理原則研修」では、以下の3ステップで構成されています。
知識を教え込むだけでなく、「講師による講義」で本質的な気づきを与える
「専用ワークシートへの書き込み」で自分自身を深く振り返える
「発表して共有する」ことで社内連携を深める
これらを繰り返し実施しやすいオンライン形式(リアルタイム講義)で提供することで、社員の成長を持続的に支援する仕組みを整えています。
採用依存から脱却し、未来へつながる「強い組織」をつくるために

採用費の垂れ流しを防ぎ、自発的に動く社員を育てるための第一歩として、まずはお気軽にご相談をご活用ください。
人事で損する「企業」と「人」をなくしたい
会社にとって採用費は莫大な利益流出につながるコストですが、実は職場環境が良くなれば、職場の良さを発信するだけで自然と人は集まり、定着していきます。
高いコストをかけてせっかく採用してもすぐに辞めてしまうという悪循環から抜け出すためには、いつまでも利益を採用費に垂れ流すのではなく、本質的な「人事」に取り組んで良い会社をつくることが不可欠です。
経営者・管理職と若手人材の価値観のズレを埋め、時代が変わっても不変な「仕事の原理原則」を浸透させることで、上司が教えやすく社員が自己研鑽に励む「強靭な組織」が必ず実現できます。

















激動する社会情勢や法改正により、中小企業を取り巻く経営環境は厳しさを増しています。