「採用以外」で人手不足を乗り切るための施策は、生産性の向上、リテンション(定着・離職防止)、社外リソースの活用の3つが挙げられます。
昨今のAI台頭において、AIに代替しようと考える企業も増えていますが、AIを導入するだけでは根本的な改善につながりません。
本記事では、その理由も含めて、中小企業が人手不足の時代を「採用以外」で乗り切る方法を解説します。
AIで業務を代替すると同時にコア人材の育成が不可欠です
管理職育成を同時に進めることが大切です
「人事制度の設計・運用」と「マネジメント研修」の専門家。株式会社NCコンサルティング(大阪府大阪市中央区南船場) 代表取締役社長。関西経済同友会 若手の会 幹事。
今後、人手不足が深刻化する、これだけの理由

人手不足が深刻化する理由には、日本の政情不安定さと外国人問題が挙げられます。
き近年、日本経済を支える柱の一つとして外国人材への期待が高まる一方で、その受け入れを巡る議論は複雑化しています。
「単なる労働力確保の手段として捉えるだけでは、この国の根深い人手不足問題は解決しない」と考える人たちが増えています。
建設、介護、農業、サービス業など業界では「外国人材」は人手不足を補うための不可欠な存在となっています。
また、女性の社会進出や高齢者活用が叫ばれる中、「働きたい人がもっと働ける」ように税制改革も検討されていますが、人口減少の推移には追いついていないのが現状です。
外国人問題の深刻化により、今後は人手不足が深刻化していくことが予想されます。
AIで業務を代替すると同時にコア人材の育成が不可欠です
管理職育成を同時に進めることが大切です
職場でAIが普及しない理由とは

人手不足が深刻化する中、ひとつの解決手段として注目されているのが「AIの活用」です。
ChatGPTをはじめとする生成AIが世界中で革命を起こしているにもかかわらず、日本の多くの職場では「AIが普及しない」「導入したが使われない」という停滞感があります。
個々の社員がこっそり業務に活用しているケースは増えていますが、組織全体の生産性向上には繋がっていません。
AI活用に留まる最大の原因は、技術的な問題ではなく、実は組織の上層部、特に「業務の責任者」である管理職のAIリテラシーが挙げられます。
つまり、日本の職場では「AI活用が推進されないのは上司がAIを知らないから」ということが原因といえます。
上司がAIを理解していないため、部下一人ひとりがAIを理解していても、個人の業務をいかに最適化するかだけになってしまい、組織全体の最適化につながりません。

上司がAIを理解していないと、社員個人が使うだけで「AIに壁打ち相手になってもらう程度」で終わってしまいます。
AIの職場活用は、AIがわかってて業務がわかってない若手がやるのではなく、業務がわかってる上司こそがAIを理解してやるべきです。
AIで業務を代替すると同時にコア人材の育成が不可欠です
管理職育成を同時に進めることが大切です
DXを勧める企業だけでは改善につながらない?

AI導入ありきではなく、「業務と人」に焦点を当てたアプローチができなければ、組織全体の業務効率化や全体最適ができません。
近年、多くの企業がAIエージェントの導入や生成AIの活用に乗り出していますが、その成功例はまだ限定的です。
特にDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を「生業」とする企業や部署が主導する場合、しばしば「現場とのズレ」が生じ、会社全体の効率化に繋がらないという現象が起こっています。
つまり、AI活用が「手段の目的化」に陥るときにミスマッチが発生します。
- 「何を解決したいか」ではなく「何を使いたいか」に終始しがち
AIそのものの性能や新機能に魅力を感じ、最新のAIツールやフレームワークの導入を急ぎがちになる - 業務の「前提」が理解できていない
DXの専門家はIT技術の専門家だが、その企業の固有の業務プロセス、業界の慣習、そして非効率を生んでいる「人の感情や慣れ」を深く理解していない
つまり、職場にAIを導入する場合、人事コンサルタントの視点で「人」と「組織」の変革が必要不可欠です。
AIで業務を代替すると同時にコア人材の育成が不可欠です
管理職育成を同時に進めることが大切です
中小企業は闇雲に採用活動やAI導入を急がないでください

人手不足の時代、中小企業の経営者や管理職が「とにかく人を入れなければ」「他社に遅れを取る前にAIを導入しなければ」という気持ちは理解できます。しかし、、、
人手不足を理由に「闇雲な採用活動」や「見切り発車のAI導入こそが、企業を疲弊させる最大の原因となります。
特に、採用と技術導入に頼りすぎるあまり、足元の「組織の土台」を見失うことは致命的です。
「基準を下げる」行為が組織を蝕む
採用基準を満たさない社員、自社の文化に合わない社員を「数合わせ」で採用すると既存の優秀な社員が尻拭いをする形となり、不満を募らせます。
大切なことは管理職を育成し、人材の定着に力を入れることです。
現場の社員が会社を辞める最大の理由の多くは、「上司との関係」や「評価への不満」です。
プレイングマネージャーが多い中小企業では、人材育成スキルを身につけないまま、管理職になっている事例が多いといえます。

中小企業こそ管理職育成に注力することで、部下の育成や定着にもつながります。
また、AIを導入するにしても、業務がわかる管理職こそが「AIをどこにどう使うべきか」を正しく判断し、ムダな業務を排除しなければ、意味がありません。
AIで業務を代替すると同時にコア人材の育成が不可欠です
管理職育成を同時に進めることが大切です















人手不足が深刻化する現代において、採用活動が難しくなっており、AI活用を目指す企業が増えています。