人事コラム

経営戦略と人事部の関係

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あなたの会社に経営戦略はありますか?
経営戦略と聞くと大企業を連想するかもしれませんが「会社が生き残るための方策」と捉えれば、規模の大小に関わらずすべての会社に経営戦略はあるはずなのです。
この経営戦略、実行していくには人事部が深く関係しているのです。

人事異動も経営戦略の一つ

冒頭にも申し上げましたが、経営戦略とは「会社が生き残るための方策」、あるいは「成長していくための方策」と捉えることができます。
ちなみに「戦略」とは、いわゆる5W1Hの中の「What(何をするのか?)」に相当するものです。
一方、「戦術」とは「How(どのようにするのか?)」に相当します。

例えば、これまでは「B to B」、企業向けのビジネスを展開していた会社があったとしましょう。
順調に業績を伸ばしていましたが、最近は安価な海外製品に押され苦戦を強いられています。
そこで「B to C」、対個人向けのビジネスに活路を見出そうと考えた場合、この考え、方策がまさに「戦略」です。
対個人向けのビジネスでは、ホームページを修正しなければなりませんし、さらに営業部も増員しなければならないでしょう。
これが「戦術」なのです。

このようなことを理解した上で、経営戦略と人事部の関係を考えてみると、最も分かりやすいのは「人事異動」や「採用」ではないでしょうか。
先ほどの例では、営業部の増員という戦術を採らなければなりませんでしたが、そのためには人事異動を行わなければなりません。
また新たに社員を補充するのであれば、採用しなければならないのです。
「人事異動」、「採用」は、ともに人事部の仕事を象徴するものです。

つまり、人事部は「経営戦略」を実行していくための部署と言っても、過言ではないのです。

経営戦略と人事制度

人事部は経営戦略を実行していくための部署でもあります。
第1章では「人事異動」や「採用」を例に挙げましたが、ここでポイントになるのは「誰を営業部に異動させるのか」、あるいは「どんな人を採用するのか」ということです。

「誰を」を明確にするには、蓄積された「人事データ」があると有益です。
定期的に実施される「人事評価」においては、各社員の成果、能力、行動などが評価対象となり、データが蓄積されていきます。
この人事データは、人事異動における「誰を」を判断する際の参考データになるでしょう。

また「どんな人」については、人事制度の一つである「等級制度」が効果を発揮します。
等級制度は仕事における社員の格付けですが、採用においては「求める人物像」として機能するのです。
例えば「新たな部署の仕事を適切に行うためには、この等級に相当する人物が必要だ」と判断できれば、その等級に該当する能力を採用基準にした面接、実技試験を行うのです。

このような例で分かるように、人事部が経営戦略を実行していくための部署として機能するためには、日々、人事制度が正しく運用されていなければならないのです。
経営戦略を成功に導くためには、今ある人事制度を変更しなければならないかもしれません。
変更が必要であるということに気づくことができるのも、人事部が人事制度を正しく運用し、その内容を理解しているからこそなのです。

経営戦略×人事=戦略人事

戦略人事という言葉があります。
いわゆる「ルーチン業務」、あるいは「管理業務」だけではなく、積極的に経営戦略に関わる人事を指す言葉です。

経営資源といえば「ヒト・モノ・カネ」であり、この3つが機能して初めて経営が成り立つ、言い換えると経営戦略も実行されていくのです。

モノが無ければ、調達しなければなりません。
モノが売れなければ改良しなければなりません。
カネについても同じことです。
どのようにして売るか、稼ぐかを常に考えなければならないのです。
変化が激しい時代、時間的な余裕はないのです。

ではヒトはどうでしょうか。
外部環境の変化が激しい時代、経営者はその時代に合った、生き残るための経営戦略を考えなければなりません。
経営戦略の内容によっては、今いる社員に求められる能力にも変化があるかもしれませんし、今いる社員だけで対応できないのであれば採用しなければなりません。

「退職者が出たから採用する」といった、いわゆるルーチン業務を行うことも人事部にとって大切な仕事ですが、経営戦略を理解し、「人事部として何ができるのか?」、「何をしなければならないのか?」を考えていくことも、これからの人事部には求められるのです。

「守り」だけではなく「攻め」の人事部という考え方が、戦略人事なのではないでしょうか。
戦略人事とは決して大企業だけを対象としたものではありません。
少数精鋭の中小企業であるからこそ、経営戦略の実行における社員一人ひとりの力がより必要なのです。
中小企業だからこそ、戦略人事なのです。

しかし戦略人事は簡単ではありません。
考え方は分かったとしても、いざという時には動けないもの、何をしたらいいかの判断が付かないものです。

戦略人事を定着させるためには、何より「人事部」をつくり、日々の人事制度の運用を適切に行い続けることが必要です。
適切な運用があるからこそ、コミュニケーションが生まれ、社員一人ひとりのことが分かるのです。
その結果、経営戦略に対する「ヒト」の課題を解決するための戦略人事が実現するのではないでしょうか。

まとめ

中小企業では、未だに人事部がない、仮にあったとしても総務部人事係という形が多いのも事実です。
「あるに越したことはないが、まだ自社には必要ない」、あるいは「そもそも必要性を感じない」という理由がほとんどですが、これから会社を発展させていくためには、人事部が果たす役割がいかに大きいかをご理解いただけたのではないでしょうか。

特に少数精鋭の中小企業だからこそ、社員一人ひとりの果たす役割は重要であり、経営戦略の実行に人事部は欠かせないのです。

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  • この記事を書いた人
大橋 高広

大橋 高広

株式会社NCコンサルティング 代表取締役社長|人事コンサルタント・社外人事部長&社外CHRO・ビジネス作家|あなたの会社の採用・育成・定着を強くする人事のプロ|人事評価制度と面談が得意|最近はブランディングとマーケティングのご相談も急増中|著書重版|現状維持は衰退|プラス思考の方と互いに高め合っていきたい|新刊執筆中

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