企業にとって、人事会議は管理職や一般社員の成長を促すための重要な会議です。
また、「人事会議」には「営業会議」にはない、人事制度上でも管理職にとって、重要な場となります。
今回は人事会議について解説します。
目次
営業会議ではできない、人事会議の特徴
多くの中小企業では、営業会議はあっても、人事会議はありません。
経営は「ヒト・モノ・カネ」の3つの資源と言われますが、「ヒト」に関する会議である人事会議は、経営者も軽視しがちです。
人事が会議が軽視されやすい理由
- 人の問題は分かりづらい
- 明確なターゲットがない
- 社長が人事権を握っている。
ヒトの課題は分かりづらい
人の問題、つまり社員の問題はなかなか表面化しません。
たとえ会社への不満、人事に対する不満があったとしても、潜伏期間があり、すぐに表面化することは少ないと傾向があります。
表面化しないため、見つけることも難しく、一見すると「問題なし」と問題自体を認識されなくなってしまいます。問題がないため、人事会議が開催されることはありません。
会社内部のKPIが設定されていない
営業会議の議論の中心は「どうやって売上目標を達成するか」ということです。売上目標という明確なターゲットがあるからこそ、営業会議が成り立ちます。
一方、人事分野では売上目標に相当するKPI(採用人数や離職率など)は設定されていますが、会社の内部の人事課題は定量化しづらく、問題化されないことが多々あります。
人事権が人事部にない
中小企業の多くは、総務部が人事機能を兼任している、また、社長自身が人事権を持っていることが珍しくありません。
そのため、日々の業務に忙殺され、人事部の仕事は二の次とされてしまいがちです。
また、オーナー企業(ファミリー企業)では、「人事は社長の仕事」と認識されていることも多く、人事の問題点の指摘が「社長批判」になってしまい、そのような職場環境では、仮に人事会議が行われたとしても議論が進みくい傾向があります。
「働き方改革」というを中心に「時短」や「残業規制」が実施され、自ずと「会議を減らす」という目標が設定されています。
ムダな会議を減らすことは大切ですが、本来会議には「情報の共有」や「進捗の確認」といった大切な役割があります。
例えば、「A社との取引が成立した過程を共有すれば、B社との営業交渉の参考になるので営業会議での情報共有は大切」となり、営業会議が優先されます。
しかし、営業会議同様、人事会議も「技術の習得が早いA君の行動は同期入社で技術の習得が遅いB君の指導において参考にするべき」という課題が生まれ、人事会議は開催されるべきです。
少数精鋭の中小企業において、いかに効率的に人を育てるかはとても大切です。そのための人事会議も決してムダな会議ではありません。
人事会議を行うために必要なもの
人事会議を行うためには前提条件があります。人事会議を行うためには、3つの条件をクリアしなければなりませんが、まず初めにおこなうべきことは「人事部をつくる」ことです。
言い換えると、人事制度を構築・運用することとなります。
人事が会議が軽視されやすい理由
- ヒトの課題を見つける ⇒ 「従業員意識調査」の実施
- 社内の人的課題解決のKPIを設定 ⇒ 「人材育成計画」の策定
- 運用できる人事権の整備 ⇒ 人事は「人事部」の仕事
「従業員意識調査」、「人材育成計画」はいずれも人事制度にはなくてはならない方法です。
つまり、人事会議を行うためには、人事部、人事制度が必要です。
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人事においても情報の共有はとても大切です。そのため、人事制度をうまく機能させるためには人事会議が必要ということになります。
人事会議を開催するためのポイント
人事会議は経営幹部や人事担当者だけでなく、評価者である上司の参加が不可欠です。
また、人事会議では上司がいかに部下と向き合ってきたかが問われる重要な場となります。日頃から部下の行動を記録したことを報告する場であり、上司のアウトプットの強化の場となり、上司の教育の場としても機能します。
▼一般的な人事会議の開催手順
参加者 | 社長をはじめとした経営幹部、評価者である上司 |
開催タイミング | 月に1回 |
人事評価者による発表 | 価者(通常は上司)は育成計画に基づいて、自らが担当する被評価者(通常は部下)に対する「評価」、並びに評価者が行った「指導」について発表します。この時、他の評価者は「何か参考にすべき点はないか」といった視点で発表を聞くことも大切です。 |
参加者による議論 | 評価者が行った発表に対して、良かった点、改善すべき点などを議論します。決して評価者の「吊るし上げ」の場ではないことに注意しなければなりません。 |
修正計画の策定 | 評価者は参加者からいただいた改善点や他の評価者の発表内容を参考にして、次月の育成計画を修正します。 |
現在、行なわれている上司の管理職研修は1日研修が多く、感想文を書く程度で終始しまいがちです。そのため、月1回開催される人事会議を活用し、管理職研修の場として活用します。
人事会議を有効にするために上司ができること
人事会議で、上司がアウトプットをするためには、評価者である上司が改善するべきことがあります。
今回は、人事会議を有効にするための方法の一部をご紹介します。
上司のアウトプットを促す改善
- 目標管理を改善する
- 評価面談を改善する
上司がやりがちな目標管理は、進捗管理です。しかし、目標管理は本来「目標設定」を重視しなければなりません。
上司として会社の大目標を理解した上で、部下と一緒に適切な目標を設定することで、経営幹部や人事部の認識と現場社員の認識のズレを防ぐことができます。
また、評価面談の改善も必要です。人事会議では、評価者である上司がアウトプットする機会が多いといえます。
そのため、上司は部下には自分の成功を適切に主張してもらうことを意識する必要があります。人事会議で適切な人事評価や育成の進捗を報告できるように、上司は「遠慮なく自分の実績アピールしてほしい」としっかりとアナウンスするようにしましょう。
経営幹部や人事担当者は会議を改善する
人事会議では、管理職にとって、経営幹部や人事担当者は上司にあたります。そのため、経営幹部や人事担当者は上司が安心して意見を出せる会議の改善が必要です。
「せっかく発言しても否定される」という認識を管理職に持たせてしまうと、現場の本当の問題は把握できなくなります。
人事会議では、報告会型の会議は減らし、管理職の意見を聞き出す場として改善しましょう。
報告や発表はクラウド上での共有に集約し、上司として現場にどういった課題があるか、現場の社員はどんな意見を持っているかなどを聞き出す場として活用することが望ましいです。
人事会議は管理職教育に最適:まとめ
人事会議は、現場の人的課題を抽出する重要な会議です。
人事会議で発表された「評価」や「指導」の内容、また評価者である上司からの「現場の意見」、そして「修正」すべての情報が共有、蓄積されることで、優秀な人材をハイシュッツする人材育成に役立てられます。
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