現場志向型人事Ⓡとは

現場志向とは、その名の通り、「意識」が現場に向かっている状態のことをいいます。ポイントは、現場主義とは違うということです。現場主義は現場に入りこんでいる状態ですが、現場志向は意識を現場に向けつつも、客観的全社的視点で判断・行動している状態です。

たとえば、現場が大切だと考えている「現場主義」の経営者が、自ら率先垂範することを実践するために、朝7時に会社に出社して、現場やオフィスの掃除をするとします。そうすると、どのようなことが起こるでしょうか?
社員たちが、社長が朝の7時に出社して掃除をしているのであれば、私たちは朝の6時半に出社して掃除しなければならないと考えてしまいます。これは社長だけでなく、管理職者が実践しても同じことが起こります。
しかし、6時半から1時間掃除をしても7時半で、始業時間の9時までは時間があるので朝ごはんでも食べようということになってしまいます。つまり、仕事もないのに無意味に会社に早く出勤しなければならないというような事態が発生してしまいます。
だからこそ、私は「現場主義はやめてください」とお伝えしています。いき過ぎた現場主義は社員の不満がたまっていくだけで、まったく生産性は上がりません。前述のように、むしろ、下がってしまうことさえあるのです。

現場志向では、逆に、無意味に早くしていたり、遅くまで残っていたりする社員が、「なぜ意味もなく早く来たり遅くまで残ったりしているのか」という原因を探し、その原因を解決するために改善します。たとえば、前述のようなことをしている管理職者がいるために、その部下たちが早くから出勤しているのであれば、その管理職者に注意を促します。

もちろん、原因を探し当てるためには、想像するだけでは難しく、アンケート調査をするだけでもわかりにくいかもしれません。やはり、重要なことは、社員に本音を直接聞くということです。これなくして、人事の問題が解決することはないでしょう。

つまり、現場志向型人事Ⓡとは、現場志向の考え方をもとに、社員の本音を聞くという現場志向型コミュニケーションⓇを実践し、そこで得た情報をもとに、意識を現場に向けて人事施策を構築し実践するという人事手法のことをいいます。

現場志向であることの重要性

私は、現場志向でない取り組みは成果が出ないと考えています。たとえば、カイゼンを実施するとします。そのために、今、60分で実施している仕事を50分でできるようにしようと、様々な改善ノウハウを駆使します。しかし、それだけでは、私は不十分と考えています。それはなぜか。
カイゼンをする側の社員の立場で考えてみてください。60分の仕事が50分でできるようになれば、10分の仕事が新たに追加される可能性が高いと考えられます。しかし、その結果として、基本給が上がるわけでも、昇格するわけでも、休みがもらえるわけでもないとなると、自分自身にとって、いったいカイゼンすることの意味をどこに見出すことができるでしょうか?私ならできません。上司に怒られないように、しかし仕事が増えないように、たとえカイゼンができたとしても、58分くらいで仕事を終えるように調整します。
こんなことを言うとお怒りになる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、これは、社員が悪いのではなく、仕組みが悪いのです。人は仕組みに応じて判断するため、仕組みが悪いと、社員の行動が良くなることはありません。これまでに、現場志向でない取り組みでうまくいっていた場合、それはたまたま気の良い人が頑張っていてくれただけなのです。

この現場志向という概念をつかんでいただくと、今までに、社長や総務部が自分で人事制度をつくったり、他のコンサルタントや社会保険労務士などに任せて人事制度をつくったり、あるいはIT企業が提供するクラウド型人事評価システムなどを活用したりして成果が出なかったということも納得いただけると思います。

その取り組みが、社員にとってどのような意味があるのか伝わっていなかったということなのです。つまり、「社員とコミュニケーションをとりながら人事を推進していく」という視点が欠けていた可能性が高いと考えられるのです。

人事は、「制度」や「IT」に焦点をあてるのではなく、「人」に焦点をあてることで劇的に好転します。しかし、そこには、大きな壁が存在します。それは、「現場の社員の本音を聞く」ということです。これまでに様々な経緯を経て、コミュニケーションが失われた、または失われつつある組織ほど、これが本当に難しいのです。しかし、これからの社会では、現場の社員を置き去りにして、経営者や経営幹部の考えだけで人事を決定する「社員不在の人事」では絶対にうまくいきません。現場の社員がいきいきと働くことができる環境の整備が不可欠なのです。

そこで、弊社では、現場の社員の本音を聞き出す「現場志向型コミュニケーションⓇ」を実施し、現場の社員の声を人事に反映する「現場志向型人事Ⓡ」を実践しております。
IT・クラウドシステムの構築などと違い、人事の問題はなんとか社内で解決できそうだと考える方が多いのですが、むしろ、人事の問題こそ、社長や同じ会社の社員には話しにくいことがあったりするため、第三者に任せると効果的といえます。人事は、「設計」よりも「運用」に力を注がなければならないのです。

現場の声を聞くと様々な問題が浮き彫りになるため、人事に関わる皆様が現場から目を背けたくなるのはやむを得ないことです。まして、自信の無い専門家が現場に触れたくないのは当然のことなのです。
しかし、弊社は現場から逃げません。会社と社員をつなぐことができる自信があるからです。
「現場志向型人事Ⓡ」では、とにかく現場を大切にして人事改革を推進します。これまでに、様々な取り組みをされて効果が得られなかった企業様にこそ、実施していただきたいと考えております。

現場志向型人事Ⓡで解決できる経営課題

現場志向型人事Ⓡは、下記のような経営課題の解決に直接アプローチします。

・社外研修やOJTを実施しているが社員が育たない
・会社に残ってがんばって欲しい社員が辞めてしまう
・社員のやる気が感じられない
・社内に活気がなく、コミュニケーションが少ない
・ベテラン社員から若手社員に技能が引き継げない
・社員のホンネがわからない
・残業が多いが改善できないでいる
・カイゼン活動を実施しているが効果が出ない
・自社あるいは専門家に依頼して人事制度を設計したが形骸化している
・IT(クラウド)の人事評価制度を導入したがうまく運用できていない

このような問題が起こる原因の9割はコミュニケーション不全です。現場志向型人事Ⓡでは、組織内のコミュニケーションを活性化することで経営改善を推進します。だからこそ、これらの問題を改善することができるのです。

社員が10名を超え、かつ長期的な経営を目指す企業様は、上記のような経営課題を解決するために、現場志向型人事Ⓡを導入し、現場志向型コミュニケーションⓇを実践していくことをおすすめします。

「組織に関する理論」や「クラウド人事評価システム」と連動

現場志向型人事Ⓡは、考え方であって理論ではありません。
ですから、これまで大切にしてきた経営理念や伝統、また、組織運営のための理論、活用してきたITシステムなどと相対するものではありません。むしろ、これらの取り組みがうまくいっていないときに手助けとなるものなのです。

たとえば、経営理念を策定したが、何も効果がなかったというようなことはございませんか?経営理念は、社内イベントや朝礼などのときに唱えるためにつくったわけではないはずですが、その程度で終わっている事例は少なくありません。なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか?
経営理念を唱えさせられる側の社員の立場で考えてみてください
たとえば「顧客第一」という経営理念を掲げたとします。このこと自体は素晴らしいことですが、それを聞かされても、一部のハイパフォーマー社員を除くほとんどの社員にとっては、自ら想像して、顧客第一の行動を実践し結果を出すということは難しいことで、そこまで考えの及ぶ社員はなかなかいません。そうすると、経営理念は唱えるだけのものとなってしまいます。つまり、現場の社員にとっては、顧客第一という経営理念をどのように理解し、どのような行動をし、どのような結果を出せばよいのか明確でなければ動きようがないのです。

最近では、勉強熱心でMBAなどを保有されている経営者や管理職者の方が増えてきていますが、理論派の方ほど、現場志向の考え方を見落としがちですので注意してください。

目新しい理論やシステムに飛びつくノウハウ・ツールコレクターになるのではなく、今あるものの中に、現場志向の考え方を取り入れてください。
現場志向型人事Ⓡが提供しているのは、「学び」ではなく「気付き」です。

学びはあなたを動かしませんが、気付きはあなたを突き動かします

あなたはこれまでに一生懸命に努力し、もうすでに多くのことを学んでおられます。それで、もしまだ望む成果が得られていないのであれば、ただ、成果を出すために「本当に必要なもの」に気付いていないだけです。

現場志向型コミュニケーションⓇとは

現場志向型コミュニケーションⓇとは、経営改善のために現場の社員の本音を聞き出すコミュニケーションのことです。

現場志向型人事Ⓡでは、現場の社員の本音を聞き出し、人的経営課題の真因を把握することで、本質的なカイゼンを実践することができると考えています。

たとえば、ゆとり・さとり世代の新入社員がよく辞めている状況が続いているとします。ここで、ゆとり・さとり世代の新入社員には辛抱がないなどと考えれば、モチベーションアップ研修をしたり、さらには禅寺研修を実施しようというようなことになるかもしれません。ところが、実際には新入社員がよく辞めている原因は辛抱がないからではないかもしれません。これは、実際に聞くことなくして知ることはできないのです。
もし、実際に聞いてみて、傍若無人な上司がいるせいで、新入社員がよく辞めているということがわかったなら、やるべきことは新入社員へのモチベーションアップ研修ではなく、管理職研修ということになります。

これが現場志向型コミュニケーションⓇを実践すべき理由です。

社長が直接聞いても社員の本音はわからない

うちは、コミュニケーションがとれているとか、風通しの良い会社だと考えておられる方もいらっしゃることと思いますが、残念ながら、社員が直接社長に本音を話すことはありません。なぜなら、社長は社員の処遇のすべてを握っているからです。

社員が社長に直接話すことは、基本的に、
①社長が喜びそうな回答を話している
②自分が有利になるための情報を流している
のどちらかです。

つまり、一見、社長に本音を話しているように見えても、実際には、社長に気に入られそうな回答をしているだけに過ぎなかったり、自分にとって不都合な人を攻撃するために発言していることがほとんどだということです。

また、社長には経営という大切な仕事があるため、人事にばかり手を取られるわけにはいきません。だからこそ、社長が現場の社員の声を聞こうと躍起になるのは得策とは言えないのです。

組織活性化には社内SNSより管理職育成が重要

残念なことに、社内SNSなどの情報共有ツールを導入したとしても、現場の社員の本音はそこにはアップされません。なぜなら、前項目でもお話しいたしましたが、そこは社長や経営幹部なども見ることができる状態にあるからです。

現場の社員の本音を聞くためには、現場志向型コミュニケーションⓇを実践する以外に方法はありません

しかしながら、コミュニケーションをとることは、とても時間がかかり、また、一度とらなくなると、なかなかとりづらくなるので、ついつい逃げてしまいがちです。管理職者にとっては、部下などとコミュニケーションをとることは必須業務ですが、日本では、管理職が実務に従事しすぎるあまり、管理職としての仕事に取り組めていないことがとても多くあります。

また、コミュニケーションをとること自体、とても高度なスキルが必要となりますが、なぜか、日本の多くの会社ではコミュニケーションについて教えてはいません。放っておいてもとれるものだと錯覚しているのです。

採用などの際にも、「コミュニケーション力があるか」を確認しようとしている会社は多いと思いますが、誰もコミュニケーションを学んでいない中で、コミュニケーション力を持っているかどうかを確認しようとしているというのは滑稽なことです。

こういうと、管理職者は仕事が忙しくて、そんなことはできないとおっしゃる方がよくいらっしゃいます。もちろん半年たてば忙しくなくなるのであれば待てば良いのですが、そうではないなら、ぜひとも今すぐに始めていただきたいのです。なぜなら、現場の社員の本音を聞いて、それを経営改善につなげていくことこそが、管理職者の「仕事」だからです。

ぜひ皆さまの会社でも、管理職の要件に、【現場志向型コミュニケーションⓇができること】を規定してください。
そして、そのための育成プログラムを構築し実践してください。

コミュニケーションは「勘」と「ノリ」では実践できません

現場志向型コミュニケーションⓇで、あなたの会社の将来を大きく変えていきましょう!

現場志向型人事Ⓡの目指す人事部とは

①現場の社員の本音を聞くことができる
②人事データを集計・分析することができる
③現場の社員を動かす仕組みを構築・運用することができる

現場志向型人事Ⓡでは、人事部あるいは人事担当者(以下、これら2つをまとめて「人事部」と表記)は、この3つに取り組むことができることが重要と考えています。

①は、経営課題の真因を知るうえで不可欠です。
②は、役員や社員などの関係者に納得していただける人事をするために不可欠です。
③は、人はルールに基づいて判断をするため、人を動かすためにはルールが不可欠です。

この3つができてこそ、成果の出る人事を実践することができるのです。

人事部の役割・仕事、必要な能力について

人事部の役割は、主に、①採用、②育成、③制度運用、④労務管理の4つです。

①採用機能について

採用は、主に、新卒採用や中途採用のために、求人広告の出稿、就職説明会の運営、採用面接、内定通知、内定者会の運営などを実施します。

組織によって、「社員すべてを人事部が採用する」ケースや、「正社員は人事部が採用し、非正規社員は各部署や各事業所が採用する」ケース、また、「広告出稿や一次面接などの比較的初期の採用業務は各部署や各事業所が実施し、最終面接などの終盤の業務は人事部が実施する」ケースなどがあります。いずれのケースの場合も、人事部には、全社的な配置を最適化するため、採用を管理することが求められます。

このため、必要なスキルは、マーケティング力、文章力、企画力、プレゼンテーション力、そして、コミュニケーション力です。

②育成機能について

育成は、主に、組織で働く人すべてを対象として、研修プログラムの構築、研修計画の立案、研修の運営などを実施します。

研修プログラムを構成するための着眼点としては、
◆階層別(経営幹部層、管理職層、指導職層、一般職層 など)
◆採用別(新卒採用者、中途採用者 など)
◆入社年数別(入社時、入社1年目、入社3年目 など)
などがあります。

このため、必要なスキルは、主に、能力開発に関する知識、現場での勤務経験、企画力、プレゼンテーション力、そして、コミュニケーション力です。

③制度運用機能について

制度運用は、主に、等級制度・人事評価制度・賃金制度の構築と運用を実施します。
社員は、組織のルール(仕組み)によって動くため、ルールづくりはきわめて重要です。ルールが「組織の理念や方向性」や「社員の考え方」にマッチしていなければ、組織内は無法地帯と化してしまい、採用しても採用しても辞めてしまうというようなことが起こってしまいます。

また、異動、昇進・昇格、昇給などの処遇に関する業務も人事部の仕事になります。ただし、処遇については、会社の意向が色濃く反映されるため、役員などの経営幹部との調整がきわめて重要となります。後になって問題が起こることがないように、処遇に関する意思決定のフローは正確に決めておくことをおすすめします。

このため、必要なスキルは、主に、人事制度に関する知識、調整力、忍耐力、そして、コミュニケーション力です。

④労務管理機能について

労務管理は、主に、勤怠管理、給与計算、保険手続き、福利厚生、安全衛生管理を実施します。

・勤怠管理
出退勤時間、時間外労働時間、休憩時間、出欠勤日数、休日出勤回数、有休休暇取得状況 など
・給与計算
基本給、賞与、諸手当、法定控除、その他控除 など
・保険手続き
健康保険、厚生年金保険、介護保険、労災保険、雇用保険 など
・福利厚生
退職金、社内イベント、社内食堂、育児施設、借り上げ社宅 など
・安全衛生管理
健康診断、ストレスチェック など

このため、必要なスキルは、主に、労務に関する知識、管理力、学習力、正確性、迅速性です。

労務はコミュニケーションをそこまでは必要としないため、総務部があれば、そちらに配置しても問題ありません。このコミュニケーションの必要性こそが人事と労務の違いです。

最高の人事部は経営者を本気にさせる

人事改革に対して、積極的になることができない経営者は少なくありません。理由を挙げればキリはありませんが、大きな壁としては、人事はすぐに結果は出ないということがあります。経営者は多くの場合、すぐに成果が欲しいと考えます。また、売上をあげない間接部門である人事に人を配置するのは難しいと考えることもあります。

しかし、一方で、経営者は、「企業は人なり」というような言葉が大好きです。つまり、企業は人であるということは経営者もわかっているのです。しかし、現場のベテランが人事部に入るとなると、現場力の低下を招くため社長も不安なのです。社長も人間ですので、変化には不安を感じます。だからこそ、社長の立場になって考え抜き、覚悟を決めて社長に寄り添い、社長を本気にさせ、人事を推進することができる人事部こそが、最高の人事部です。

これまでと同じことの繰り返しの延長線上に、これまでと違う結果はない

これからの人材難の時代に経営を続けていくためには、真摯に人事に取り組むことがきわめて重要です。「企業は人なり」という言葉を借りるなら、人事部こそが経営に直接つながる会社の根幹をなす部署なのです。

現場志向型人事Ⓡ式 人事部のつくりかた

人事をはじめるときによくテーマになるのが、人事制度のつくりかたです。そのため、人事評価制度や賃金制度のつくりかたに関する書籍やセミナーは非常に多く存在します。また、そういったIT・クラウドシステムも多く存在します。
しかし、これらは「設計」に関するものがほとんどです。ところが、人事に重要なのは「運用」です。もちろん、運用は「マニュアル」があるだけでは不十分です。実際に運用する「人」がいなければ、制度やシステムは何の意味も持たないのです。
人事は「制度」だけではなく「」をつくることが大切です。

だからこそ、弊社は、「人事制度」ではなく、「人事部」(あるいは人事担当者)をつくることをおすすめしています。興味深いことに、人事評価制度や賃金制度のつくりかたに関する書籍はたくさんありますが、人事部のつくりかたに関する書籍はないのです。(2017年4月7日現在)このことからも、いかに「運用」が置き去りにされてきたのかを感じとることができます。

そこで、人事部をつくるための5つのステップをご紹介します。

人事部のつくりかた5ステップ

①人事部長(人事担当者)を決める

総務部人事係はもちろん、社長・総務部長・業務部長・経理部長などの兼任では、人事部づくりは進んでいきませんので、必ず人事部長を決めます。その際の役職名は、必ず「人事部長」にします。そうしなければ、他の部署長から、「本社は暇だからそんなことばかり言うんだ」というようなことで推進に影響がある場合があるからです。なお、人事コンサルタントを活用する場合は、人事コンサルタントが各部署長と連携するため、人事部長ではなく、人事担当者を決めれば問題ありません。

②会社の現状を把握(調査)する

なぜか人事分野については、現状把握をしないで改善案を考えがちです。営業などでは、何がダメだったのかなどを明確にして、改善案を考えるのですが、人事に関してはなぜか現状把握をしないことが多いのです。しかし、経営課題の改善には、的確な現状把握が不可欠なので、必ず実施してください。
そのためには、人事部が秘密厳守のもと、社員と直接面談をして本音を聞き出します。面談時間は1.5時間ほどで、面談場所は外部に声が漏れない秘密厳守な場所で行ってください。また、人事部員は守秘義務の関する契約書を締結し、そのことを公にしておくことで、さらに社員の皆様が本音を話しやすくなる可能性があるため、本音を話しにくい雰囲気を感じておられる場合は、検討してみてください。

③人事制度をつくる

人事制度は、「等級制度」「人事評価制度」「賃金制度」の3つから構成されています。どれ一つ欠けてもうまくはいきません。そして、この中でもっとも重要なのは、「等級制度」です。
等級制度とは、社員を格付けする基準(どういう人が部長なのかなど)を決めて、その基準に合わせて、社員を格付けする制度です。実は、これが決まらないことには、納得度の高い人事評価制度や賃金制度をつくることはできません。部長がどのような人かわかることで、評価基準を決めたり、賃金の基準を決めたりすることができるからです。

④人事制度の説明会を行う

人事制度ができたら、社員に説明をしますが、その際には、絶対に社長が社員に対して発表してください。もちろん、詳細な説明は各部署長などにお任せしても問題はないのですが、社員に「人事にかける思い」を伝えることができるのは社長しかいません。その「思い」が人事を推進していくことになります。
静かに人事制度を構築して、運用し始める企業様がありますが、実効性に大いに不安が残ります。人事には、知識やノウハウではなく、思いを込めることがきわめて重要です。
最近では、新入社員などにも活用できるということで、動画を制作される会社もあります。

⑤人事制度を運用する(評価者研修、評価者会議)

人事評価をするにあたっては、目に見える指標(売上など)でしか判断することは難しいと考える企業様が多いと思いますが、それでは社員の納得度は上がりません。むしろ、数字に見えない仕事をしている社員のモチベーションは下がる一方です。そのため、数字で判断できないことも評価していかなくてはいけないのですが、そのために重要なのは、「評価者(人事評価をする人)の資質向上」です。
たとえば、100m走を考えてみてください。数字はストップウォッチを見れば一目瞭然です。では、フィギュアスケートはいかがでしょうか?これは審判が実際にみて判断しているのです。
これにならうなら、人事においては、評価者が審判となりジャッジをします。このジャッジが、いつも疑惑の判定では社員は納得できませんから、評価者の資質向上が必須といえるのです。

さらに、経営課題は、評価者が一人で努力をしていても解決はしません。そこで、社長や経営幹部や他の評価者が集まり、「評価者会議」を実施して、情報を共有したり、改善案を検討していきます。つまり、経理部が仕訳作業を行うことで、財務データが蓄積し財務分析ができるように、人事部も評価者が日々の人事に関する記録を行うことで、人事データが蓄積し人事分析ができるようにし、改善を推進していくというわけです。

人事部をつくる必要性について

通常、人事部がない場合、総務部・管理部・経理部のようなバックオフィス系の部署が兼務していることがほとんどです。しかし、実際には、これらの部署の方に必要な能力と、人事部の方に必要な能力はまったく異なります。とくに、コミュニケーション能力という点において決定的に異なります。人事はバックオフィス系の部署よりもむしろ、能力的には営業部の方が近いかもしれません。ですので、バックオフィス系の部署が人事を兼務したとしても、成果を出すことができないのは当然と言えば当然なのです。これは人事担当者の怠慢ではないのです。

つまり、採用・育成・定着などの人的経営課題を改善しようと思えば、人事部をつくり、人事部員の能力開発を実施していかなければ、成果が出ることはないのです。

現場志向型人事では、適所適材の人員配置こそが、もっとも効果を発揮する人事施策であるとしています。
仕事の性質に合わせて最適な社員を配置することほど、重要なことはありません。

ちなみに、適材適所と適所適材の違いは、人材の適性に合わせて最適な仕事を割り当てるか、仕事の性質に合わせて最適な社員を配置するかどうかです。これまで適材適所を実践されていた場合については、一度、適所適材の人員配置について考察していただきたいと思います。実は、日本企業では、社歴や人間関係などで配置を決めがちで、適所適材の人員配置が難しいということがよく起こっているので注意が必要です。

人事改革に必要なのは決断力

そこで、必要なのが決断力です。
決断力とは、決める力と断つ力の総合力ですが、人事を実践するうえではとくに断つ力が極めて重要です。成果の出る人事を実践するためには、人事をやるんだと決めるだけでは不十分なのです。

たとえば、現場はもちろんですが、会社側の判断としても管理職としての適性がないと評価している方がいるとします。にもかかわらず、「彼のこれまでの経験や社歴・年齢などを考えると、課長くらいにはしておかないと」などといって管理職にしている場合、「あの課長は人を育てたりすることは無理なので、現場の主任にやってもらおう」というようなことがよくあります。しかし、このような「部分最適」を繰り返していては、そもそも管理職とは何なのかわからなくなってしまいます。こういった場合は、やはり課長には管理職を降りていただいて、きちんと人材育成ができる主任を管理職にするべきなのです。つまり、管理職に適切な方を「決める」だけでなく、管理職に不適な方を「断つ」ことが重要になるのです。
成果の出る人事を実践するためには、「全体最適」が非常に重要なのです。

また、人事部をつくる、あるいは見直すときには、
・売上を減少させてでも取り組めるか
・現場力を減少させてでも取り組めるか
・嫌われ者になるとしても取り組めるか
という、3つの苦難が待ち受けています。

人事部をつくるときには、人事は日常業務にプラスして行われることになりますが、それではマンパワー的にキャパオーバーしてしまい、うまくいくことはありません。ですので、場合によっては、売上を下げて業務を減らしてでも人事に取り組まなければならないこともあります。
また、人事には、現場の仕事や人を理解した方が配置されるとうまく機能することが多いため、場合によっては、現場力が低下するとしても、現場を熟知したベテラン社員を人事部に配置しなければならないということもあります。
さらに、人事部員は人事の取り組みを進めていく中で、他部署から誹謗中傷されることがあります。このため、人事部員は、組織の将来のために、嫌われる勇気を持てるかどうかも非常に大切なのです。

人事は運用してこそ成果が出る

ともに現場志向型人事Ⓡを実践する人事部をつくり、あなたの会社の将来を大きく変えていきましょう!

さらに詳しく現場志向型人事Ⓡを学びたいとお考えの皆様へ

さらに、「現場志向型人事Ⓡ」について知りたいとお考えの方は、弊社代表の著書「人事部のつくりかた」(主婦の友社)をご参考いただけましたら幸いです。

また、各種のセミナーや講演でもお伝えさせていただいておりますので、ご参加いただくか、ご依頼いただけましたら幸いです。

※「現場志向型人事」ならびに「現場志向型コミュニケーション」は、株式会社NCコンサルティングの登録商標です。