人事制度はただ構築すればいいものではない!!

あなたの会社に従業員が10人以上いらっしゃれば、必ず人事部、そして人事制度を構築してください。

一方、既に人事部があるのであれば、人事制度も構築されていると思いますが、その人事制度は本当に会社の役に立っているでしょうか?

人事制度はただ構築すればいいものではありません。ひとつ間違えてしまうと、経費や手間が掛かるだけで、全く会社の役に立たないものになってしまうのです。

こんな人事制度を構築していませんか??

せっかく人事部を立ち上げて、人事制度を構築したのに「絵に描いた餅」になってしまっているケースは意外と多いものです。

その理由は一体何なのでしょうか?

インターネットからダウンロードしただけの人事制度だから

今やインターネットを使って、あらゆる情報にアクセスできる時代です。
人事制度をはじめ、就業規則や退職金制度なども簡単にダウンロードできます。

このような環境は、「人事制度は必要、しかし構築に時間を掛ける余裕なんてない!」といった会社、特に中小企業には助かるものです。
しかし、いざ使ってみると、いろいろと合わない点が多いことに気付くはずです。

それもそのはずです。
ダウンロードした人事制度は中小企業向けですか?
従業員は何名を想定したものですか?
自社の業種に合ったものですか?・・・

やはり、何事もそうですが、付け焼刃ではダメなのです。

社員の声が反映されていない人事制度だから

そもそも、人事制度は誰のための制度なのでしょうか。もちろん社員です。

人事制度は、社員が安心、そして納得して仕事に打ち込んでもらうための手段であって、構築が目的ではないのです。

「社員は何に不安を感じ、何に不満を持っているのか?」、社員の声を反映していない人事制度は、決して自社に合った制度にはならないのです。

コミュニケーションの仕組みがない人事制度だから

人事制度の運用はコミュニケーションが全てと言っても過言ではありません。

時代とともに社員の考え方にも変化が起こり、不安、不満の内容も変わってくるのが当然でしょう。
そんな時に社員の声を吸い上げる、つまりコミュニケーションの仕組みがないと人事制度はうまく機能しません。

なお、ここで言うコミュニケーションとは、いわゆる「飲みニケーション」に代表される非公式なものではありません。
話す側、聞く側がお互いに仕事として行うコミュニケーションです。
これは誤解が多い点ですので、ぜひ覚えておいてください。

正しい人事制度を構築する方法・手順とは??

それでは、どのようにしたら自分の会社に合った正しい人事制度を構築し、運用することができるのでしょうか。
そのポイントをお話していきたいと思います。

人事部長を決める

重要なのはその肩書きです。
人事制度は社員全員の制度ですから、構築や運用においては他部署の協力が不可欠です。
そのような場合、例えば人事部が主任で製造部が部長であれば、対等なコミュニケーションを取ることはできません。

では、人事部長には、どんな人が向いているのでしょうか?

いくつかあると思いますが、最も重要なのは現場の社員の声を謙虚に聞くことができる人です。
人事制度の構築・運用はコミュニケーションが大前提です。
しかし、常に上から目線で来られては、社員も萎縮してしまい、本音で話すことができなくなります。

これでは、せっかくの人事制度もうまく機能しません。

現状を把握する

第1章でも申し上げましたが、今の社員が何に不安を感じ、何に不満があるのかを把握しないまま、人事制度を構築してはいけません。

では、どのように現状を把握するのでしょうか?

それは面談です。

「アンケートでも良いのでは?」と思う方も多いかもしれませんが、アンケートでは社員の本音は把握できません。必ず面談を通じて把握するようにしてください。

人事制度を構築する

この段階で、やっと人事制度の構築に取り掛かることができるのですが、人事制度には重要な3要素があります。

  • 等級制度
  • 人事評価制度
  • 賃金制度

この3要素を盛り込むことで、社員が安心、納得する人事制度が構築できるのです。
どれが欠けてもいけません。

等級制度とは、社員に対し仕事上の格付けをするための制度です。
社員は格付けされた等級において、成果や行動が評価されます。

人事評価制度とは、一定期間の社員の成果や行動を評価する仕組みを定めた制度です。
「何を評価するか(評価項目)」、「どう評価するか(評価基準)」を明確にします。

賃金制度とは、基本給や賞与、諸手当などを決定するための制度です。
退職金制度や福利厚生制度などを含めるケースもあります。

人事制度の説明をする

人事制度は多くの社員に協力してもらったからこそ、出来上がったものです。
自分たちの考え、意見がどのように反映されているのか、社員は知りたいはずです。
中には反映されなかったものもあるかもしれません。

「なぜ、こういう内容にしたのか」を説明し、社員の納得感を醸成することが、人事制度の推進力となります。

説明する際のポイントは、社長自身が行うことです。

細かい制度内容は人事部長でも構いませんが、人事制度を通じて「会社はこうなるんだ!」という決意は、ぜひ社長自身の言葉で行ってください。

人事制度の運用をする

何事もそうですが、完璧に構築したものであっても、運用して初めて顕在化する問題もあると思います。
問題は無いに越したことはありませんが、なかなかそうは行きません。

また、本当に正しく運用されているかのチェックも必要になってきます。

つまり、定期的な見直し、チェックを行うことが運用段階ではとても重要なのです。
その結果、人事制度がより素晴らしいものとなり、会社の財産となっていくのです。

まとめ

人事制度の構築は、会社がこれまで以上に、更なる発展を遂げるために必要なものです。
従って十分な時間を掛けて構築していかなければなりません。

誰もが片手間で構築したいとは思っていないものの、ついつい短期間に構築してしまうこともあるかもしれません。

しかし、人事制度は会社の財産であるという点を常に頭の中に置いて、構築していただきたいと思います。

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大橋 高広
株式会社NCコンサルティング 代表取締役社長|人事コンサルタント・研修講師|東洋経済オンライン記事投稿・日本経済新聞での書籍紹介│新刊『リーダーシップがなくてもできる職場の問題30の解決法』(日本実業出版社)Amazonランキング「マネジメント・人材管理」6位│その他著書『バカはブラック企業に入りなさい』(徳間書店)、『人事部のつくり方』(主婦の友社)│人事制度の設計と運用・管理職研修・職場改善研修・新卒研修・若手社員研修など「人事評価制度の設計と運営」を軸に、「組織文化形成・管理職育成・職場改善」など人事全般に関するサポートを提供